平凡社新書
ジョルジョ・モランディ―人と芸術

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582855746
  • NDC分類 723.37
  • Cコード C0271

内容説明

前衛芸術、ファシズム、二つの大戦、アンフォルメルの台頭…イタリアの一地方都市ボローニャを離れることなく、ひとり寡黙な生を貫くことで時代に抗う画家がいた。同じ場所で同じ対象を描き続ける頑固なまでの姿勢―一見慎ましやかなその生は、観る者を静かに激しく揺さぶる、親密で静謐な空気感を湛えた独自の作風へと結晶した。謎に包まれた「手仕事」の背景にあるものとは?二十世紀最大の具象画家の知られざる魅力に迫る。

目次

第1章 どの絵もみんな同じ?
第2章 なぜ壜なのか?
第3章 過去の救済
第4章 芸術と人生
第5章 アトリエ訪問
第6章 モランディ、怒る!
第7章 ローカルにしてグローバル

著者等紹介

岡田温司[オカダアツシ]
1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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まさむ♪ね

45
哲学者キルケゴールは言う「人生は反復であり、反復こそ人生の美しさである・・・」。大いなるくり返し。生まれ育ったイタリアの地方都市ボローニャを生涯離れることなく、僧房とよばれるアトリエでお気に入りの壜や壺ばかりを描いた反復の画家ジョルジョ・モランディ。やわらかな灰色のヴェールをまとった画家の愛したモチーフたち、積り積もった埃の層は平和だった時の長さ、何よりも争いを恐れた画家の気高き埃のマチエール。この隠棲の画家になぜこれほどまでに惹かれるのか。その理由がおぼろげながらも見えてきた。2016/01/12

ネムル

7
昨年末に兵庫県立美術館のモランディ展に行って、楽しく鑑賞しつつもその魅力をなんとも言語かしにくく、こちらも読んでみた次第。フーコーいうところの「類似」と「相似」、または引きこもりの画家を外へと導く絆としての壜という点で納得した。またモランディやジャコメッティの埃への愛着という点から、埃が除外されるような近代的な美術館観との反りの合わなさについて言及しているのは興味深い。2016/01/13

おかめっち

5
京大教授がモランディ(1890-1964)について語る。 1どの絵もみんな同じ?2なぜ壜なのか?3過去の救済4芸術と人生5アトリエ訪問6モランディ、怒る!7ローカルにしてグローバル2024/03/09

Z

5
モランディについて知らなかったが、美大出の知人が好きだというのでWebで検索したら牽かれた。同時代のピカソにくらべ派手さのない似たような静物画を描き続けた人。新書なので個々の絵をのせることに限界はあり絵の解説は他の本を参照するほかないが、伝記的な事実と、思想を援用した分析は面白くよめた。とりわけ反復についての考えはためになった。同じようでありながら、細部に違いを主張する絵画群。形而上絵画、キュビズム、未来派等、同時代の潮流に流されず自己のテーマを追及する姿勢を魅力に思う2022/09/09

justdon'taskmewhatitwas

4
壜や壺を並べて同じような絵ばかり描いていた画家。故郷ボローニャで教鞭を執り、批評家や美術史家の友人や教え子とも一定の距離を保つ。謙虚に先達に学びスキャンダルやゴシップとは無縁で平穏な生活を望み、生涯を彩るエピソードの一つもない生き方──。唯一晩節を汚すように語られる教え子との確執は、本書の構成上その人生がめくられたかの様な印象も残るが、一見沈黙し静謐な彼の作品が持つ、実は厚塗りされ振り動く、(もしかしたら画家自身も意外だった)見る者の心揺する雄弁なポテンシャルがもたらした悲劇のように思う。2024/04/03

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