内容説明
頭のかぶるものも、さすものも、どうして同じカサなのか、オモざし、カオだち、ツラがまえ、顔をいう言葉が三つあるのはどういうわけか、「信じる」と漢字の音から動詞を作る以前、カミとヒトとのかかわりはどんな言葉で語られたのか…、身近なことばの由来をさぐるとき、日本語を語ったむかしの人々の、姿と心が見えてくる。
目次
カサをサス―雨に歌えば、まずは祝言
男たちの名まえ―みやこの人々、おクニはどちら
オモざし・カオだち・ツラがまえ―列島の顔とりどり
ソヒ(添)とげる―爺婆の夢の果て
焼けノ・ハラ―田畑が火田だった頃
ウマい、シブい、ヱグい―草食・根食人の味覚
ネル(練)―手・足・心のスローな意義
オニごっこ―疎外・人食い・なり変わり
マにウケる―動詞「信」はどうよむか
ケハヒ(気配)とオト―人・物・神の「ケ」のはい方
トキの向こう―「時と永遠」への古代的観想
おナゴリ惜しい―船出を見送る、霊をながす
著者等紹介
木村紀子[キムラノリコ]
1943年生まれ。松山市出身。奈良大学名誉教授。専攻は言語文化論・意味論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katsubek
12
普段考えもしなかった、ごく普通の言葉について書いてあり、ほう、なるほどと合点がいく。そう言えばそうだよねと気づかされる楽しみを味わわせてくれる、とてもお得な本!2016/01/11
bapaksejahtera
9
既読の著者の本は皆日本語の基本語彙の成り立ちについて考察するものだったが、今回は名付けや味覚、心の動きなど抽象概念に広げている。更には頭カシラとカウベ、甲カブト、髪カミに共通する頭部を示す「カ」などを指摘、言語構造の深層にも迫ろうとする。日本語は地方や階層毎の古い言語生活資料に乏しい。知識人が漢字との対応を早く固定した為、判定にバイアスが掛る。しかし著者はこうした類推をそのままに書き捨てては終わらず、読者の思考を促す形を取る。本著は引用に詩歌を採り上げる事多く、著書として美しく仕上がっているように思える。2021/05/16
ひろゆき
4
さす、ねる、おに、焼け野原などなど。漢字の由来ではなく、あくまで日本語の由来ね。「さ」「に」など発音の意味するものの探求などが面白い。雑学になってしまいますが、読んだら明日からの日本語の使用に用心深くなります。2013/07/31
真水
1
常世、とこしへ、常磐の違いをまとめた表が嬉しい。もう焼け野原って言えないなぁ。2011/05/11