内容説明
うつ病の診断や治療には時代性が反映される。日本だけでなく、世界中で増え続けるうつ病に対して、いま、なにが必要なのか、どのように向き合うべきか。自殺予防にも取り組む第一線の精神科医が、その治療法や予防法を具体的に提起し、現代のうつ病の全体像をわかりやすく解説する。「うつ病は心の風邪」ではない。増え続けるうつ病の理解とトータルケアのために。
目次
第1章 増え続けるうつ病
第2章 うつ病とはどんな病気なのか
第3章 うつ病の原因究明・治療法
第4章 うつ病の回復のプロセス
第5章 自殺の危険
第6章 うつ病の予防
著者等紹介
張賢徳[チョウヨシノリ]
1965年大阪市生まれ。91年代東京大学医学部卒、帝京大学医学部精神科学教室に入局。97年英国ケンブリッジ大学にて精神医学博士号取得。同年帝京大学市原病院精神神経科講師、99年同大学溝口病院精神神経科科長・講師、2004年同科長・助教授、08年同科長・教授。川崎市や横浜市の自殺対策事業など公的活動に積極的に参画。日本自殺予防学会事務局長、日本臨床死生学会評議員、多文化間精神医学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mana
35
内因性うつ病、反応性うつ病の違い、メランコリー型性格についてなど、幅広く。2023/03/22
カッパ
17
服薬、休養、環境調整の三大方針。時期により波があることなどがとてもわかりやすく書かれている。60パーセントが再発するなんて少し寂しいようにも思う。2018/06/14
こたちゅう
2
新書版でこの手の本では比較的難しく(詳しく)書かれていると思うが、病気について詳しく知ることができて良い。前の人も書いているが、うつ病は寛解が難しく、予防的に薬を飲み続けることもあるなど、あんまり嬉しくない情報だけど偏りなく説明してくれていて、地味だけどそういう点でもいいと思う。面白い、知り合いに薦めたい、という種類の本ではないが、個人的には参考になり読んでよかった。2012/09/05
なっしー
1
うつ病について知るためには最良の本である。反応性うつ病と内因性うつ病もしっかりと書かれており、大変参考になった。特に、内因性うつ病についてはほとんど知らなかった私にとって、事例を載せながらとてもわかりやすかった。さらに、うつ病の生物学的原因について、わかりやすくまとめられていた。これから先、さらにうつ病患者は増えると予想する。そのような中で我々一人一人が正しい知識を持ち、情報を取捨選択していかなければならないのだと思う。2013/06/22
米光一成
1
反応性うつ病と内因性うつ病があって、内因性うつは脳の病気である、というスタンス。SSRI現象や、DSM基準がうつの概念を拡げた、メランコリー型性格がうつになる傾向うんぬんって言うのって日本とドイツだけ、といったスタンスの説も紹介していて、フェアな立ち位置につとめてる感じ。とはいえ、再反論は“効果が乏しかったり、危ない薬であるなら、どれだけ上手に宣伝しようが、二〇年以上の年月の間に廃れていたであろう”という感じで、さらっと現状肯定で進行。2012/02/28