内容説明
昭和十年の開場以来、「東京の台所」として親しまれてきた築地市場。いまや、外国人にも人気の観光スポットだが、「築地の常識は世間の非常識」といわれるように、働く人たちの心意気や商習慣、しきたりなどは一般にはほとんど知られていない。戦後の激動期を知る、「築地の生き証人」たちが、魚河岸の表裏を余すことなく語る。
目次
誠実な商売は儲からないけど、気持ちがいい―仲卸業者「堺浜」・羽生津勲さん
市場というのは人が集まってこそ―元「東都水産」加工品部部長・清水秀夫さん
すべてはパンク修理から始まった―「榊オート」相談役・榊幸彦さん
セリバはコミュニケーションの場―元仲卸業者「小山田」社長・小山田正明さん
入った頃の築地は戦争のようだった―元「大都小揚」社長・白石洋右さん
商売は人のつながりで広がりをもつ―「東京空器」社長・石渡陽二さん
一台の小車に全霊をかける―「桐生製車」・桐生源三さん
いまも昔も築地は生活の基だった―仲卸業者「堺周」配達員・菊地薫さん
著者等紹介
小山田和明[オヤマダカズアキ]
1970年東京都生まれ。父と祖父は二代にわたり、築地仲卸業者「小山田」を営む(現在は廃業)。立正大学文学部史学科卒業後、東都水産株式会社に入社。現在は東都小揚株式会社に勤務。築地市場の生き証人たちの証言を記録することをライフワークとする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shin
1
ひょんなことから仕事で築地を(初めて)訪れることになり、せっかくなのであらかじめその文化と歴史を少しでも勉強しようと手にした本。自らも築地で働き、父親にもインタビューを試みる著者の眼差しは、歴史の一部へとフェードアウトしつつある築地への愛情に満ちている。この文化としての存在もまた、市場の移転や流通事情の変化によって失われていくのかもしれないが、そこで働き続けた人達は、日本の戦後をたくましく生き抜いた昭和人として記憶されるべきだと思った。2011/07/12
ゆふいん
0
築地について詳しく知りたくて読んだ本。自分にとっては専門用語が多すぎて、理解度は6割程度か。生田與克「たまらねぇ場所築地魚河岸」と併せて読んだので、若干理解は深まったけど。ある程度、築地に関する知識を持っている方にはたまらなく面白い本なのだとは思う。2010/12/15