平凡社新書
中世哲学への招待―「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために

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  • サイズ 新書判/ページ数 243p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582850697
  • NDC分類 132.2
  • Cコード C0210

内容説明

ヨーロッパ中世の哲学。それは一般的イメージとは異なり、けっして骨董品でも、神秘主義めいたものでもない。古代の哲学とキリスト教の思想を引き継ぎながら、科学的思考やさまざまな概念をつくりだし、近代を準備したいとなみだったのだ。“精妙博士”ドゥンス・スコットゥスの哲学を軸にしてヨーロッパ的思考を理解するための要をさぐる、アクチュアルな中世哲学入門。

目次

その1 生涯の風景
その2 神の存在
その3 個別性について
その4 記憶と理解と愛(三位一体論)
その5 自由と意志
その6 時間と宇宙

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

24
ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスの三位一体論の解説の中で、神と子と聖霊をそれぞれ記憶・理解・愛に当てはめているところが不思議だった。ロゴスとしての子が理解、それは分かるが、それに先立つものとして記憶がある。普通は理解したものを記憶するがそれは記憶でなく習慣なのだという。記憶はプラトンのイデアに近いのかもしれない。忘却の彼方にある魂の故郷のような記憶。人は原罪とともに生まれてくると言われるが、同時にエデンの園の記憶も、魂の奥底に隠されているのかもしれない、そんなことを考えた。2019/02/18

またの名

12
若者に流行しブームになった異教のアリストテレス哲学を当初は教会が禁止したものの、議論に勝って若者の心を掴んだ者が教授になる大学では積極的に導入したそうで、流行り物の受容が今と大差ナシ。ほぼドゥンス・スコトゥスの話が中心の本書は、スコトゥスにより質料ではなく形相の側に個別化の原理が置かれたことで本質的に高められた個体の特異な個別性、意志論、時間論などが現代まで与える影響を強調。西洋と日本の価値観対比といったざっくり解説に好みが分かれそうだけど、哲学は前提も敷居も高く設定し過ぎると思う向きには丁度いいかも。2018/10/04

サアベドラ

11
著者の専門であるヨハネス・ドゥンス・スコトゥスを軸に中世哲学をわかり易く紹介する、という体で、著者の専門であるヨハネス・ドゥンス・スコトゥスの凄さを紹介する本。たしかに文章は読みやすいし、日本人に馴染みのない中世哲学を噛み砕いて丁寧に解説してくれているけれども、やっぱりドゥンス・スコトゥスの説明のほうが多い(とくに後半)。中世哲学・思想の入門書だったら素直にリーゼンフーバーの本(『西洋古代・中世哲学史』『中世思想史』)に手を出したほうがよかったかも。2015/01/07

よしくん

4
中世哲学への招待とあるけれど、西洋思想に通底するものへの解説がとてもわかりやすい。経験だけでは納得しない(漢方薬飲んで熱が下がるという事だけでは、何となく胡散臭さを感じてしまい、例えばナントカ神経にこの成分が作用するから熱が下がるみたいに原理を明らかにしないと西洋人は納得しない。効けばいいじゃんっていう我々とは違う)なんて基本的な説明に深く納得した。三位一体論(特に聖霊!)とか、時間概念の違いとか、何で神の存在証明にそんなにこだわっちゃうの?とか、日本人が苦手な分野を上手にカバーしてくれる。2024/11/06

素人

3
ドゥンス・スコトゥスの個別化原理の解説が分かりやすくて、よかった。スコトゥスは、個別化の原理を質料の側ではなく形相の側に求めた(トマスとの違い)。スコトゥスによれば、特定の事物を「このもの」として規定する働きは、本質(類・種)に対して付帯的である。その一方、この付帯性は、個物に無限の神性の受容能力をもたらす。それゆえ「個別者は、共通な者〔類・種〕が含むことのないある完全性を含んでいる」と言える。ただし実際に神性がもたらされるかどうかは神の意志次第であり、人間について言えば信仰による(112-118頁)。2021/06/04

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