出版社内容情報
加賀藩で銀座役に就きやがて咎めを受けた商家が、近世初頭からどのように成長・変貌したか、豊富な史料でその実像を生き生きと描く。
中野 節子[ナカノ セツコ]
著・文・その他
内容説明
一向一揆の時代に金沢に移り住んだ武家石黒家の一流は、のち商家福久屋となり、魚問屋を始める。前田家加賀藩の領国経済の発展のなかで、のこぎり商いへと転身、さらに薬種業を始めて経営を拡大、また多角化する。そして本業のかたわら、福久屋は銀座役に就く。領国貨幣をつくらなくなった段階の加賀藩の銀座の役割は、主に、銀の秤量と封包、両替、為替であり、銀座役は藩の命令でその監督にあたる。しかし経済の論理とそれにくらい藩政上層部の政策は時に食い違い、町奉行支配下の銀座役の立場は藩の内訌にも巻き込まれやすい。福久屋はやがて咎を受け、主人と婿が死ぬ…。90年代に発見された貴重な商家史料「石黒家文書」を縦横に駆使して、近世前期の地方商人と領国経済、藩政のありようを生き生きと描き出す。
目次
第1章 金沢の商人・福久屋
第2章 魚問屋からのこぎり商いへ
第3章 薬種商福久屋と奉公人たち
第4章 福久屋の多角経営とその環境
第5章 銀座福久屋
第6章 銀座の諸相
第7章 福久屋の不幸
著者等紹介
中野節子[ナカノセツコ]
1948年、金沢生まれ。金沢大学法文学部卒業。元金沢大学教授。専攻、日本近世史。博士(人文科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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