内容説明
東アジア三国のなかで、朝鮮社会には儒教的秩序がとりわけ深く浸透していたが、李朝後期には、その桎梏をのりこえて近代を志向する実学思想がめばえ、やがて開化思想へと架橋される。本書は、実学の系譜をたどりつつ、その成立背景を都市ソウルの発展と結びつけて解明し、また実学派の人々の生きざまをも浮き彫りにする。さらに高麗時代にさかのぼり、朝鮮史上かつてない武臣政権のもとで、文人知識層がいかに身を処したかを追求し、また中華主義的世界観のなかで、朝鮮文化の意識が成立するさまを描く。
目次
1 実学研究序説
2 18世紀ソウルの都市的様相
3 実学派の文学と社会観―朴趾源の場合
4 李朝後期近畿学派における正統論の展開
5 李朝後期の地理書・地図
6 崔漢綺の生涯と思想
7 李朝士大夫の基本性格
8 朝鮮王朝の訓民政策と正音の機能
9 韓国儒教に関する断章
10 李退渓と書院創設運動
11 韓国文化に及ぼした大陸文化の影響
12 南北国時代と崔致遠
13 高麗の詩人における文明意識の形成
14 三別抄の遷都抗蒙運動と対日通牒
15 高麗武臣執権下の文人知識層の動向
16 高麗武臣政権と李奎報
-
- 和書
- 村の祭と聖なるもの