内容説明
中国近世の支配的な思想としてあった新儒学Neo‐Confucianism、とりわけ朱子学は、封建制のイデオロギーであり、反動思想そのものと一般的に理解されてきた。本書は、朱熹と自由主義教育、新儒学の個人主義、黄宗羲の自由主義思想など、真に論争的な問題の組みたてにより、新儒学の思想営為がいかにリベラルな方向を示し、革新性に富むものであったか、説きつくして余蘊がない。
目次
第1講 新儒学の誕生と「道統」の観念
第2講 朱熹と自由主義教育(「為己之学」;「克己復礼」;『小学』の人倫説;民衆教育;講学と自発性の重視;高等教育と博学の尊重)
第3講 新儒学の個人主義(新儒学の個人主義の諸観念;理想の個人としての聖人;「自任」と人間の義務;「自得」と人間の主体性)
第4講 明代の新儒学と黄宗羲の自由主義思想
第5講 現代中国と自由主義の限界