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限局性激痛

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  • サイズ 46判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582839722
  • NDC分類 954
  • Cコード C0098

出版社内容情報

フランスを代表する現代アーティスト、
ソフィ・カルの痛みと治癒の物語、待望の邦訳。

1999?2000年、2019年に東京・原美術館で展示された「ソフィ・カル―限局性激痛」に未邦訳分を新たに訳出した完全版。
ソフィ・カルの希望により、日本語版の造本は布張りのカバーに箔押しのタイトル、赤金のインクで三方を塗り上げた。
近現代美術キュレーター・岡部あおみによる日本語版解説を付す。


【本書より】
限局性激痛:(医学用語)局所の鋭い痛みのこと。
10月25日に出発したときは、この日が92日のカウントダウンへの始まりになるとは思いもよらなかった。
その果てに待っていたのはありふれた別れだったが、とはいえ私にとってそれは、人生で最大の苦しみだった。
私はこの滞在のせいにした。
フランスに帰国した1985年1月28日、厄払いのために、滞在中の出来事よりも私の苦しみを語ることにした。
そのかわりに、話し相手になってくれた友人や偶然出会った人たちにこう尋ねた。
「あなたがいちばんつらかったのはいつですか?」
このやりとりは、自分自身の話をさんざん人に話して聞かせて、もう語りつくしたと感じるか、他の人たちの苦しみと向き合って、自分の痛みが相対化されるまで、続けることにした。
この方法には、根治させる力があった。


ソフィ・カル(Sophie Calle)
1953年、フランス・パリ生まれ。大学を中退して世界各地を旅した後パリに戻り作家活動に入る。テキストと写真、時にはオブジェや映像を組み合わせた独自のインスタレーション作品を発表し、1999?2000年に本書と同名の「限局性激痛」展を東京・原美術館で行う。著書にBlind(Actes Sud)、The Address Book(Siglio Press)、Double Game(Violette Editions)、邦訳に『本当の話』(平凡社)、『なぜなら』(青幻舎)がある。2024年高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門を受賞。

内容説明

人生最悪の失恋を、他者の苦しみの記憶を聞き、自ら語ることで受容していく―。フランスを代表する現代アーティスト、ソフィ・カルの痛みと治癒の物語、待望の邦訳。

著者等紹介

カル,ソフィ[カル,ソフィ] [Calle,Sophie]
1953年フランス・パリ生まれ。大学を中退して世界各地を旅した後パリに戻り作家活動に入る。テキストと写真、時にはオブジェや映像を組み合わせた独自のインスタレーション作品を発表

青木真紀子[アオキマキコ]
国際基督教大学卒業。東京大学大学院博士課程単位取得退了

佐野ゆか[サノユカ]
東京大学文学部南欧語南欧文学専修課程卒業。同大学大学院修士課程修了、博士課程在籍中(仏語仏文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayan

17
過剰な情報と映像が溢れ「見る」事に疲れきった感覚あり。年明け「不在の哲学」と題する展示会案内にソフィカルの名前を見つけ妙に気になった。抑制のなかに輪郭を持ち引き寄せられた。本書は「来なかった」夜を繰り返し語る。愛の終わりではなくその場に現れなかった一点が語りと記憶の全てを引き寄せる。語る→癒すはない。語る→痛みの形が定着する。ピカソ没後50年ソフィカルが提示した「監禁されたピカソ」は「展示しない展示」構想作品。三菱一号館で見た。いないのに記憶にいる恋人、あるのに見えないピカソ、不在の精度は存在より鋭利だ。2025/01/29

スミス市松

5
だから人は物語を求める。2025/01/20

みのこ

4
先日、ロートレック×ソフィカルの展覧会に行って、カルの作品をじっくり鑑賞するには、個人のスペースと時間が必要だなぁと感じたのと、共に、彼女の言葉遊びというか、言葉と写真のセンスに改めて興味をもった。原美術館で1999-2000年に開催された、この本と同タイトルの展覧会を思い出した。当時、強く印象に残っていた展覧会で、会場では全文を読み切ることができなかったし既に記憶も曖昧だ。こうして書籍というかたちで再会することができて、文字を通してあの空間がよみがえり彼女の作品に深く入り込めた。2025/02/04

二瓶くん

3
『本当の話』のアーティスト・ソフィカル、久しぶりの訳著。恋人がいて3ヶ月フランスを離れ日本で留学したソフィ。留学後すぐにデリーで彼と待ち合わせのホテルに向かう。しかし部屋で待っていたのは真っ赤な電話から聞こえる彼の声。別れを告げた。そうしてタイトル通りものすごい痛みを背負ってしまったソフィカルは、いろんな人にいちばん辛かった話をしてもらって、そして自らの痛みを相対化しようとする。「時は全てを破壊する」とある映画で知ったが、私としてはきっと多くのことは時間が何とかしてくれると思っていた。2025/01/19

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