出版社内容情報
日本人初・女性初の国連難民高等弁務官として、世界各地の紛争地で難民支援に携わるなど、世界で活躍した「真の国際人」緒方貞子の生涯をたどり、その源となる強みを知る。
内容説明
日本初・女性初の国連難民高等弁務官として、10年間、世界の難民のために尽力した緒方貞子。退任後の数年間、パーソナル・アシスタントとして近くでその姿を見続けた著者が、その生涯と強みを語る、「緒方貞子」の入門書。対象中学生以上。
目次
第1章 緒方貞子という人(巨星堕つ;曽祖父は犬養毅 ほか)
第2章 UNHCRを知っていますか(緒方貞子は知られているが;難民とは ほか)
第3章 緒方貞子ならではこそ(第八代国連難民高等弁務官に就任;私とUNHCRの前途には何が待ち受けているのだろう ほか)
第4章 緒方貞子のバトンを受け継ぐ(バトンをつなぎたい;緒方の強み1 並みはずれた体力 ほか)
著者等紹介
中村恵[ナカムラメグミ]
1960年東京都生まれ。東京外国語大学卒業後、フランスに留学。1989年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に就職。ジュネーヴ本部、駐日事務所広報室勤務ののち、ミャンマーにて援助現場での活動に従事。2000年末にUNHCRを退職し、2001年に筑波大学大学院修士課程カウンセリングコース修了。NPO法人国連UNHCR協会の設立に関わり、職員として勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
116
人格・識見・業績…どれをとっても、こんな素晴らしい人物はいないのではないか。緒方さんは日本人の誇りだと思う。「緒方と言えば現場主義」で敢然と困難に立ち向かう姿に心震える。「国連は、結局のところUNHCRの活動だけでいいのではないか」という軽口は、ロシアの前に無力の国連の姿を予言していたかのようだ。聖心女子大第一期生の緒方さん。同級生が、渡辺和子さん、須賀敦子さんというのも凄い。信念を持ち、社会で活躍する女性たちの素晴らしさ。緒方さんの陰に、伴侶の四十郎さんによる深く大きな理解と愛情があったことも感動的だ。2022/04/06
ルピナスさん
73
先日娘の学校で、本書の作者で日本UNHCR協会の設立に関わった中村恵氏の講演会があり親も聞く事ができた。若い頃から尊敬する人物が緒方貞子氏である私にとって貴重な機会だった。緒方氏は国際貢献という言葉を嫌い、同じ地球に住む人間という仲間としての連帯感から難民の命を守る姿勢を大切にしていた。2020年末時点で人口の1%が故郷を追われているが、その数は更に増えているのだろう。中村氏自身、ロヒンギャ難民の現場で支援に携わっている。若い人に読んで欲しいとの本書。一番のメッセージはとにかく体力をつけてとのことだった。2022/09/06
けんとまん1007
63
緒方貞子さん。「現場第一主義」「人の命を救う」。この二つの言葉が、重く、こころに響く。その言葉・行動の背景にあるものが、とてもよく伝わってくる。根幹にあるのが、相手を思うこと、そのための準備・心遣いを徹底するということ。まさに、今、必要なこと。学生には「勉強すること」と言い切る姿が清々しい。そして、「英語力が、グローバル・・・ではない」「真のインターナショナルとは・・・」このあたりは、落合陽一さんと同じ。大いなる利他を感じる。2022/04/23
雪月花
48
1991年から10年に亘って、国際連合難民高等弁務官を務めた緒方貞子さん。そのアシスタントだった著者から見た緒方貞子さんの人柄や生き方を知り、更に尊敬の念が深まった。2020年の統計では世界人口の1%が故郷を追われ、国境を越えた難民だけでなく国内避難民の数も急増している。1990年から始まった湾岸戦争のさなかに行き場を失ったクルド人たちを、法的に難民とされなくても支援の対象とすることを決断したのは緒方貞子さんであり、率先して現地に飛んだらしい。日本ももっと難民を受け入れなければと思わされた。2022/07/21
yurari
5
緒方さんの人柄がとても良く伝わる素晴らしい内容。国民難民高等弁務官就任時と退任時のスピーチ、それぞれ胸が熱くなった。なんと85歳まで第一線で活躍されていた…!テニスが好きで体育会系だったとか。/曽祖父は犬養毅/難民が難民でない状態になるための解決策①帰還②庇護国での定住③第三国での定住。UNHCRではいずれかの実現を支援/国連では正しい英語は存在しない/人道支援は貢献ではなく人として当たり前のこと/いちばん大事なことは、「難民、あぁ、かわいそう、やってあげましょう」ではなく、「仲間」と考えないとね。2022/04/19