出版社内容情報
作家たちが自ら料理し、その手順をありのままに綴ったエッセイを精選。内田百?や石井桃子、武田百合子、牧野富太郎らの「おうちごはん」をなぞって楽しむ、小さな食物語集。
内容説明
「じぶんで、つくる。」作家の手による料理と、そのエッセイ。珠玉のアンソロジー。30名の作家の手料理、或いは読者のためのレシピ集。
目次
季節を料る(春の野菜(森茉莉)
初夏の味覚(戸塚文子) ほか)
つくる愉しみ(「食らわんか」(向田邦子)
料理好きのタレント(石井好子) ほか)
自然を食す(野外の雑草(牧野富太郎)
明日葉(團伊玖磨) ほか)
記憶と味覚(梅酒(茨木のり子)
りゆうきゆうとコンニャク(尾辻克彦) ほか)
著者等紹介
野村麻里[ノムラマリ]
ライター・編集者。1965年東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
36
2021年刊。主に家庭料理について作家が書いたエッセイ集。短めで作り方の説明がまじる。久しぶりに森茉莉氏の「好きなものは好き」をガツンと喰らった。何か文句ある?いいえありません。むしろ素敵です。と脳内で問答した。武田百合子氏は夫に作ったすいとんの話で『富士日記』の頃のこと。やっぱり超具体的だし感覚が明晰だった。水上勉氏は『土を喰らう日々』の抜粋。禅寺での質素な調理について自省的に語る。体験、実感だから味わい深くて説教にならない。尾辻克彦(赤瀬川原平)氏は思ったままのお喋りで、いつも通り楽しかった。2025/05/17
あじ
26
“天然物”の饗宴は一文が口福なり。◆アンソロジーエッセイ 2021/04/05
くさてる
22
昭和の30人の作家による、手料理に関するエッセイアンソロジー。森茉莉から始まって内田百閒で終わるのですから、文句など出るわけありません。他の作家もそうそうたる面子なので、豊かな内容のエッセイが楽しめます。個人的に面白かったのは、米原万里「トルコ蜜飴の判図」。これ読んでハルヴァなるお菓子に憧れなかったら嘘でしょう、という面白さでした。どんな味なのかな……。2021/07/07
tetsubun1000mg
21
有名な作家から各分野で活躍しているらしい作家さんまで、手料理に関するエッセイなどを集めて編集している本。 自分で好きな料理を作る話なので、作家さんたちも本当に好きなものや料理のレベルも分かって興味深い。 プロの料理人レベルの作家もいれば家庭料理やほとんど作ったことが無い人まで様々な作家の料理をする様子が浮かんでくる。 池部良の「すき焼き」と米原万里の「ハルバァ」の話が特に心に残った。 各章が短めで多くの作家さんの幅の広い話題が楽しめた。 伊丹十三のスパゲッティの話もいろんな本で出てきたが初めて読んだ。2021/10/22
MOTO
14
料理エッセイの中で見つけた写真家『星野道夫』さんの名前。(珍しいな)と、読んでみたら懐かしい『シールオイル(アザラシの脂肪を溶かした液状のオイル)』の話。彼の著者でソレを知ったのは随分前の事だが、強烈だというその匂いがツンと鼻を突いてくるような感覚が懐かしかった。 懐かしいと言えば、記憶の中の食べ物を語った作家さんが多く、カロリー、見栄えの美しさ、栄養価、体しか喜ばない料理をしばし忘れ、台所からあまじょっぱい匂いが漂う思い出をおかずに炊き立ての白米をがつがつ食べたくなった。2021/10/31