出版社内容情報
作家は芸術にどう向き合い、どう表現するのか? 絵、版画、写真、その作家たちをめぐる散文を収めた著者初、待望の「アート本」。
【著者紹介】
作家・フランス文学科・早稲田大学教授
内容説明
「絵を観るとは、いったいどういうことなのか。絵について語るとは、どういうことなのか」絵画、版画、彫刻、写真をめぐる、著者初の芸術論集。
目次
1(いくつもの穴が掘られている土地―駒井哲郎;北へ、あるいは、たどり着けないイマージュへ―菊池伶司;二十六葉の記憶―清塚紀子)
2(三十七度七分と三十八度四分のあいだで―エルヴェ・ギベール;深海魚の瞳―サイ・トゥオンブリー;曇天の村道を行くアヒルの数を記すこと―鬼海弘雄 ほか)
3(なにが聞こえてくるのかは、だれにもわからない―松本竣介;夢想の回転軸―吉村誠司;樹木の高さの想い―棚田康司 ほか)
著者等紹介
堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964年生まれ、作家・仏文学者。早稲田大学教授。『おぱらばん』(三島由紀夫賞)、『熊の敷石』(芥川賞)、『河岸忘日抄』(読売文学賞)、『なずな』(伊藤整文学賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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erierif
9
美術家に関するエッセイ集。『その姿の消し方』で一葉の写真から話が進んでいくように、様々な作品を共に並んで鑑賞し豊かな知識の中へ導かれるように読んだ。美しい世界を磨きこまれた言葉でつないだようなエッセイ集だった。全ての章のタイトルからもう美しく練り上げられている。 「北へ、あるいは、たどり着けないイマージュへー菊池怜司」「三十七度七分と三十八度四分のあいだでーエルヴェ・ギベール」「深海魚の瞳ーサイ・トゥオンブリー」「なにが聞こえてくるかは、だれにもわからないー松本竣介」「樹木の高さの想いー棚田康司」 2018/07/14
geromichi
7
最後の「スターキングはもう作られていませんと彼は言ったーあとがきに代えて」が素晴らしかった。この本は、書題と装丁、紙質、その大きさや持ったときにずっしりくる重みも良いです。2020/04/17
hirayama46
2
堀江敏幸による美術評論集。こういうことを言っては元も子もないのですが、やはり美術というのはダイレクトに対象に触れなくてはわからない部分があまりにも多いのだなあ、と感じました。そういう意味で作品について論じたものよりも、作者の伝記の要素が強い文章のほうが楽しく読むことが出来ました。2016/02/22
rien
2
縦横無尽に関係の糸を紡ぎあげていく手つきがあいかわらずとても繊細で見事です。あとがきに代えて記された文章が、ここまで織りあげてきた言葉の、イマージュの、絵のレース模様に不思議な縁の悲色を添えています。絵画や写真について語っているからなのか、故人の作品だからなのか、これまで以上に死へと漸近しているように感じました。2015/06/15
gorgeanalogue
0
知らない画家・写真家のものは読みづらいこともあるし、ときに大仰な言葉が出てくるが、まあまあの読後感。ドアノー、モランディ、巻末のエッセイ「スターキングはもう作られていませんと彼は言った」。晩年のペロスがマジックメモを使っていたらしいことを知って驚愕。図書館本2017/01/20