出版社内容情報
14紙誌で紹介『地上の飯』の著者が、今度は「衣服」をお題に東奔西走。ブラジャーの国際比較からペニスケース、バッタもんに三島由紀夫のキャンプな服装描写まで、目から鱗のエッセイ集!
内容説明
完全防水の鮭革ブーツにトナカイ革のパーカ、ンダニ族のペニスケースにオーダーメイドのブラジャーetc.世界の衣服には人々の知恵と欲望と試行錯誤がいっぱい!『風と共に去りぬ』に『禁色』、リース、マンスフィールド、幸田文etc.文学の中のお洋服にも秘密がいっぱい!!
目次
秘密のワードローブ
ブラジャーと国際問題
編んだもの織ったもの
魚衣獣衣
資本主義と山本家の美学
クロス・ドレッシングと着物のデカダンス
なりたい自分
黒真珠の旅
キュロットとスカーフと透明の普遍
働く女の靴下
白手袋の民主主義
LVバッタもん
月経人生論
ターン―理想の身体
著者等紹介
中村和恵[ナカムラカズエ]
1966年生まれ。東京、札幌、モスクワ、メルボルン、大阪、ロンドンなどに移り住む。東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程中退。現在、明治大学教授。小説、詩、批評、翻訳など幅広い分野で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋 眉雄
23
身につけるものを取っ掛かりとした社会学、文学論。世界は端っこから眺めればよく分かるという視線。立ち位置が極めてしっかりとした、筋の通った一冊です。ファッションというものが持つ、階級をもぶっ壊す破壊力を語る『白手袋の民主主義』なんかは、ハッとするような、目を覚まされたような気がしました。2020/01/31
くさてる
12
着るもの、洋服、身にまとうもの。それらについて気ままにおしゃべりしているようで浮ついたところはなくて、でもムダに深刻ぶるのでもない。人間の生活と歴史や文化と切り離すことが出来ない服飾の魅力とその重要さを肩の凝らない文体で語ッていて、とても読みやすかったうえ、それで終わらない興味深いところまで押さえているような本でした。面白かったです。2014/04/30
sasa-kuma
9
面白かった。いわゆるファッションのおはなしではないけれど、いつもと違う視点で「着ること」の原点を見ることができて楽しい。これから選ぶ洋服が変わりそう。着るものの観点から読む文学のはなしも楽しかったし、アイヌのはなしも興味深かった。2014/09/02
きりぱい
9
『地上の飯』が食なら、こちらは歴史や環境から発展してきた衣服についての話。自然保護活動に対する毛皮の話や、一概に男性優位の差別とは決めつけられないフランスでのムスリムのスカーフ事情、ドレスの観点から見る三島やヘンリー・ジェイムズ、ストッキングからマンスフィールド、モスリンから幸田文やトマス・ハーディ、マーガレット・ミッチェル、イギリス階級差の服装などからオーウェル、アーノルド・ベネットなどなど文学に見る衣服もあって面白い。衣服から離れた最後の2章が言いっぷりで一番面白かったり。2014/07/07
ひるお
4
靴下や宝石、着物など、わかりやすく身近なところから、魚の皮でできた服、ブラジャーや生理用品まで、衣服と、それに包まれる身体をめぐるエッセイ集。ポストコロニアルかつフェミニズム的な視点から世界をまなざす筆者の論に、過激さを感じる人もいるだろう。しかし、彼女が提示するのは厳しくとも必要な視点だ。衣服は文化の一側面であると同時に、政治・社会・経済、果ては哲学にまで繋がっている。衣服を着て生きる者として、衣服がどんな意味を持ち得るのか、そして衣服に包まれる身体はどこへ行くのか、本書を出発点に考えてみたい。2018/11/11
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