出版社内容情報
この展覧会はうそかまことか――。クラフト・エヴィング商會の棚おろし的展覧会公式図録。文学、デザイン、アートを軽々と渡り歩く同商會の魅力と新たな世界が満喫できる約3年ぶりの新刊。
内容説明
「ないもの、あります」の看板を掲げ、麗しくも奇妙な品々を世に送り届けてきた、架空のお店にして本づくり工房=クラフト・エヴィング商會。アート、デザイン、文学が融合した商會初の棚卸し展覧会。
目次
商品目録
著作
装幀
お客さまの声
クラフト・エヴィング商會全装幀リスト
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
113
星がほしいと思いませんか。すぐそこにあるようなのに遠くて、ふとどこかにいってしまいそうな淡い光を。二羽の兎を追いかけて迷い込む石畳の小路の奥、あるはずのないものを集めた店の古びた扉。あなたのてのひらに乗るほどの星を賣りましょう。硝子窓のむこうに並ぶとりどりの壜や鋏、未来から届いた古本、密造酒の名残、黒猫が集めた宝物。昼の陽の下では霞んでしまい、闇夜の奥だと沈みこんでしまう、月光よりもかそけき星くずのような商品たちを。そのまたたきの群れの中の、どれかひとつは、あなたのために流れおちてきたたったひとつの星。 2014/03/14
けんとまん1007
106
余計な言葉は要りませんね。ただただ、素晴らしいです。クラフト・エヴィングワールドそのもの。何となく、その風合いを感じさせる仕事は、まさに職人技だと思う。ほんの装丁であったとしても、何となく、気配を感じさせる凄さがある。しかも、それがわざとらしさとか、押し付けがましさが無いのが素晴らしい。最近は、いろんなところで、そこでわざとらしさとか、今しか考えていないのが多い中では、稀有な存在かもしれない。本当に、最後のパートの装丁作品集は、その本を読んでみたくなるので、困ってしまう^^2014/07/26
まふ
104
2014年世田谷文学館で開催された「クラフト・エヴィング商会のおかしな展覧会」の公式図録でもある。中身は①著者の独特のセンスとエスプリで選んだいくつかのオブジェに関するシャレた感覚のコメント集 ②同商会(吉田篤弘、吉田浩美)の著作紹介 ③同商会の1000点余の装丁実績紹介 ④同商会と関わった作家・関係者等の感謝の言葉に分かれている。装丁実績が豊富であり、彼らが実力に裏付けられたホンモノであることを証明している。なかなか楽しませていただいた。忙中閑の読書向きである。 2024/11/13
シナモン
100
大人の知的な遊び。好きな世界観にワクワクうっとりでした。今まで装幀された本の数々、え、これもそうだったの!っていう発見がたくさん。小川洋子さんとの共著「注文の多い注文書」読んでみなくては!2025/07/16
コットン
98
展覧会の図録だけれどそれだけに終わるはずもなく…例えば<ホテル・トロール>のメモ・パッド:誰に読まれるあてもなく「架空のホテルを舞台にした小説」を書いていて、印象的な小道具のメモ・パッドの本物を作ってしまう辺りから彼らの躍進は約束されたものとなったのでしょうね。そしてお客様の声も面白い。三浦しおんは「クラフトエヴィング商會さんが扱っているものは。「品物」ではなく、ひとの記憶や心なのかもしれません。お二人は他者の心に寄り添い、小さな声に耳を傾け、物語を引き出す才能にあふれたかたちだと感じます。」的確な言葉!2015/07/29