出版社内容情報
吉田健一、石川淳、大岡昇平、深沢七郎、吉岡実、澁澤龍彦、山田風太郎、石井桃子、中上健次など、多彩な作家たちのテクストを読む。解説エッセイ=朝吹真理子、推薦文=笙野頼子
内容説明
批評とユーモアが全方位に炸裂する、当代一のことばの使い手・金井美恵子。半世紀にわたる膨大なエッセイの中から、4つのテーマ(批評、猫、作家、映画)で、作家自身がセレクトし、新たに編んだベスト・コレクション集!
目次
1(絢爛の椅子;アーサー・ランサムの世界 ほか)
2(“虚構”と“面白さ”;小説家と批評大岡昇平について ほか)
3(武田百合子『遊覧日記』東海林さだお『東京ブチブチ日記』;繊細なせこさ ほか)
4 単行本未収録批評、その他(たとへば(君)、あるいは、告白、だから、というか、なので、『風流夢譚』で短歌を解毒する
歌の人々、あるいは『風流夢譚』事件とその周辺 ほか)
著者等紹介
金井美恵子[カナイミエコ]
1947年、高崎市生まれ。小説家。1967年、19歳の時、「愛の生活」が太宰治賞候補作となり、作家デビュー。翌年、現代詩手帖賞受賞。その後、小説、エッセイ、評論など、刺激的で旺盛な執筆活動を続ける。小説に『プラトン的恋愛』(泉鏡花文学賞受賞)、『タマや』(女流文学賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
16
読むことの、書くことの、喜びや快楽、不毛さや、果てのなさ、苦痛、尽きる事のなさ、或いは魅惑、魅惑そのものである感覚…。岡本かの子、石井桃子、武田百合子、森茉莉、大岡昇平、中上健次、澁澤龍彦…。次々と、どうしたって、読みたくなる、読むほかなくなる、読む事で、今一度、幾度となく、生き直したくなる、生き直すほかなくなる。その言葉が、その言葉こそが、向かわせる、誘う、読む事の楽しさへと、見知らぬ、新たな、別の、或いは馴染み深い、よく知った、愉悦へと、終わりのない、苦しみをも含む熱、欲望の内へと…。没頭する幸福。2020/08/26
きみさん
4
今までの書評・作家評・エッセィ集。質・量共にボリュームがあって、時間がかかった。始めから順序良く読むのではなく、好きな章から読むことにした。まず、「高村智恵子」→『死の棘』を読む→谷崎潤一郎『細雪』について、というふうに。金井美恵子さんって、やはりズバリと本質を突いてくる。寝っころがっては読めない本。次は、もっと軽い本にしよう・・・。2013/11/27
アン・シャーリー
2
タイトルだけ見るとまるで何かの文芸指南書のようだけど、そうではなくて、金井美恵子の書いた書評なり作家評なり小説家と会った思い出話だったり、ボルヘスが来日するのを入沢康夫と見に行った、というようなエッセイだったり、つまり小説にかんするいろいろなエッセイを集めたコレクションです。ひとつひとつのエッセイはわりと短いので、次々と読んでしまいます。繊細なものを、気取らず、かまえず、味わいたいだけ味わうこと――いわば優雅さというようなものを感じます、といってしまうと、どうにも安易で、陳腐なものいいですが。2015/05/07
渡邊利道
1
『カストロの尻』を読みつつふと思いついてパラパラ読んでしまった。小説を、とあるが詩に就いての文章に込められた情熱の若さに胸を打たれる。どうせなら岩成達也論も読みたかった。まあ、現代詩文庫で読めばいいのだが。2017/06/13
けいこう
0
『ことば書く』より先に『小説を読』むわけで、後藤明生の読んだら書いたを受けて、ただ読んだ、にはならないだろうかと言った著者の小説との幸福な関係は本当に羨ましい。2016/03/23