出版社内容情報
ボクシングの試合中に相手が死亡しても罪に問われないのはなぜか。英国刑法を通じて「スポーツの正当性」とその根拠を明らかにする。
内容説明
「近代スポーツの母国」イギリスで、かつてサッカーやボクシングは違法行為であった。さまざまなスポーツが「近代化」される過程を跡づけ、その〈正当性〉の根拠を明らかにする。
目次
1 スポーツ史から見たイギリス
2 スポーツの近代化と刑法
3 弓術の奨励と「不法な遊戯」
4 アニマル・スポーツと動物愛護運動
5 スポーツと賭博
6 ボクシングと刑法
7 コモン・ローとスポーツ
8 スポーツの正当性とは何か
著者等紹介
松井良明[マツイヨシアキ]
1964年、大阪市生まれ。奈良教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。奈良県立大学、同志社大学、帝塚山大学などの非常勤講師を経て、奈良工業高等専門学校准教授。専攻はスポーツ史。スポーツ史学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2022/07/05
きぬりん
1
遊戯・スポーツに対する英国の法的規制の歴史を繙くことにより、「為政者たちによる禁止や抑圧とつねに隣り合わせであった」(240)スポーツが、「いかなる条件によって近代社会に正当な位置を得たのか」(230)を解明する試み。拳闘をめぐる19世紀の判例を辿ることにより、不法な遊戯としての拳闘が合法的なスポーツにまで変化する様子を跡付け、そこからスポーツ合法化の要件を剔出する6−7章が白眉。19世紀の福音主義の高まりにより、不道徳な民衆の娯楽が「理性に適った合理的な娯楽」(107)へと改良されていくさまも面白い。2022/07/21
わたなべ
1
全然ボクシングの話しない2020/10/30
しょうた
1
求めていた内容の本ではなかった。題材に釣られて購入したが、ボクシングのことというよりも、イギリス全般のスポーツや賭博に関しての歴史を説明した内容であった。2019/06/21
ろい
0
イギリスにおける刑法とスポーツの関わり。 「気晴らし」という本来の意味のスポーツから、運動というスポーツへの変遷、その課程での賭博と犯罪との関わり。 特に「競馬」と「ボクシング」はこの隙間に存在する競技であり、だからこそ最も早く近代化したという逆説は非常に面白い。 そしてスポーツが近代化する前にはスポーツへの弾圧があったが、福音主義において生活は「労働」と「休息」しかなく、その間には「怠惰」しかないと考えられていたと。 なんか今の日本を彷彿とさせるお話。2015/04/22