内容説明
ロシアのグリムと称えられてきた民俗学者アレクサンドル・N.アファナーシエフ。その彼が収集した昔話の中に、性的表現があまりに露骨で、聖職者・貴族を揶揄した内容であるため、編者みずからの手で印刷無用と大書して秘蔵されてきた昔話集がある。150年ぶりに封印を解かれた民衆ポルノから、性愛をおおらかに謳い上げるロシア民衆の哄笑がこだまする。
目次
狐と兎
スズメと牝馬
熊と百姓女
狼
百姓と熊と狐とアブ
猫と狐
ノミとシラミ
犬とキツツキ
陰門と肛門
尻を洗え〔ほか〕
著者等紹介
アファナーシエフ,アレクサンドル・ニコラエヴィチ[アファナーシエフ,アレクサンドルニコラエヴィチ][Afanas’evym,Aleksandr Nikolaevich]
1826‐71。ロシアの歴史家、民俗学者。ヴォローネシ県の田舎町で裁判所の職員を勤める下級官吏の家庭に生まれる。正教会の司祭に読み書きを教えられ、モスクワ大学法学部卒業。外務省のモスクワ中央文書館に勤務し、1850年半ば頃から、ロシアの口承文芸の集大成を志し、『ロシア昔話集』(1855‐63)、『ロシア伝説集』(1859)を刊行して、「ロシアのグリム」と呼ばれた。農奴解放令の発布された1862年、革命家ゲルツェンとの交際の嫌疑で文書館を免職となり、以後職業を転々としつつも、民俗資料を駆使した浩瀚な『スラブ人の詩的自然観』全3巻(1865‐69)を書き上げた
中村喜和[ナカムラヨシカズ]
1932年、長野県に生まれる。1962年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。日本貿易振興会(JETRO)勤務後、東京大学教養学部、一橋大学、共立女子大学で教え、現在、一橋大学名誉教授。1999年、ロシア科学アカデミーのロモノーソフ記念金メダル受賞。専攻:ロシア文化史、日露文化交流史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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