出版社内容情報
旅の目的はアイヌ! 函館に渡ったバードは待望の蝦夷(えぞ)=北海道の旅を開始する。アイヌの土地を訪れ、滞在しながら人々と交流を深め、くもりないまなざしで描き出す。全4巻
内容説明
旅の目的はアイヌなのか?函館に渡ったバードは、待望の蝦夷=北海道の旅を開始する。アイヌの土地を訪れ、滞在しながら人々と交流を深め、くもりないまなざしで描き出す。
目次
蝦夷に関する覚書
伝道活動
函館
風景の変化
遭遇
アイヌとの生活
アイヌのもてなし
未開の人々の暮らし
衣類と習俗
アイヌの信仰
酔っ払いの現場
火山探訪
雨の中の旅
驚愕
ぽつんと建つ家
失われた環
日本の進歩
挨拶状
台風
著者等紹介
金坂清則[カナサカキヨノリ]
1947年富山県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学名誉教授。イザベラ・バードに関する研究と写真展等の活動により、王立スコットランド地理学協会名誉会員他。専攻、人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
142
日本奥地紀行の北海道への旅です。函館から森、室蘭、苫小牧などを経てまた函館に戻ってくるという旅程です。その間にアイヌの生活などを克明に書き記されています。また最後近くの報告では役人の「収賄」ということが書かれているので、外国人にもわかるくらいですのでかなり大っぴらに行われていたのでしょう。この本の半分近くが注で訳者の努力がよくわかります。名著ですね。2016/08/21
Miyoshi Hirotaka
34
千島樺太交換条約で国境が画定されて以降、本格的な植民が始まった。ロシア政府は大量の囚人を送り込み、先住民族はほぼ淘汰され、北海道を含む各地に四散。一方、開拓使はアイヌ内部の問題には不干渉を貫き、アイヌ人に日本人とほぼ同等の権利を与えた。バードが北海道を旅したのは日本人とアイヌ人が混住していた時期で、まだ、アイヌ独特の風俗、習慣が温存されていた。それは、同じ時代にインディアンに対して行われたアメリカ政府の対処のし方に比べればはるかに人道的だった。ところが、歴史も記録も持たない民族にはそれが理解できなかった。2016/11/16
きいち
33
ついにアイヌの地へ。集落に入り、その暮らしぶりや信仰を丁寧に観察し、言葉を採録していく。とても2人の通訳を介してのことだとは思えないその眼の正確さ。しかし。◇その後に彼女は、アイヌのことを「見込みがない」さらに人口増を「嘆かわしい」とまで記す。さらに帰途に会った男を、人類と類人猿とをつなぐミッシングリンクと捉えさえする。キリスト教への教化の可能性が尺度と思われるとはいえ、アイヌの若者ピピチャリをはじめとした、平取での人対人の交流記のあとだけにショッキングだ。◇それが、当時の世界。明治日本の切実さがわかる。2017/05/04
Tadashi_N
32
150年前の北海道旅行は、それ自体が学術探検だった。その後の凄まじい発展ぶり。2018/08/04
壱萬参仟縁
24
札幌農学校(21頁~)。 今の北大だが、マサチューセッツ農科大学 を手本に設立。 60人の定員で英語、測量学・土木学、 農学・園芸の教育を徹底していた。 蚤(レ・ピュス)や蚊など、 つらいことばかり(70頁~)。 アイヌの誠実で気前のよい人々(88頁~)。 これは未開人の美点であるという。 ただ、文明と接触すると持続するか、どうか、 とも考察されている。 役人の収賄(195頁~)。 公金が十分な給与をもらっていない役人の大群 によって浪費されている(196頁)。 2014/05/30