内容説明
徳川吉宗に呈した原作に最も忠実と考えられる写本(服部本)を底本とし、厳密な校訂注を加えた決定版。現代にも通じるトータルな世界認識と政治指導理念を示す。内容理解に資す詳細索引付き。
目次
政談巻1 国の卜り(国の卜り発端の事;江戸町中並びに武家屋敷の卜りの事 ほか)
政談巻2 財の賑(財の賑の大概;当時困窮を改むる道、古三代聖人の制度を考え定むべき事 ほか)
政談巻3 人の扱(人の扱い発端の事;官・位・爵・禄並びに勲階の事 ほか)
政談巻4 雑(内外曲輪の御門番の事;内外曲輪の御門にて笠をぬがすべき事 ほか)
著者等紹介
平石直昭[ヒライシナオアキ]
1945年生まれ。東京大学名誉教授、帝京大学教授。専攻は、日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
4
荻生徂徠の政治改革論。前半は反都市・反消費的な思想が全面に出ていて正直どうかと思いましたが、巻三「人の扱」での人間洞察は面白い。「一くせあるものに、勝れたる人多き物也」(220ページ)、「惣て御役人は隙になくて不叶事也。殊に上にたつ大役の人程、隙なくては成まじき事也」(229ページ)などは現代にも通用しそうな感じも。攷註は岩波文庫版への参照が随所にあって、このあたり読者にとっては不親切では。2017/08/30
YY
0
武士が経済に巻き込まれる中、いかにして身分など秩序を保つか。大変な問題に取りくんでいる。意外と語気が強いのが面白い。「政談」の内容はともかく、岩波文庫版は品切れなので「文庫版の注が有益だ」と注で書かれても困る人がいるのでは。まあそこまできちんと取り組もうと思う人は古書で入手するだり図書館で見るなりするだろうが。2012/05/04