内容説明
英雄マナスは、300万のキルギス軍を率いて、宿敵クィタイへの大遠征に発つ。中央アジア遊牧民の歴史・社会・習俗・伝承を背景に民族の戦いを豊かに謳いあげる大叙事詩。全3篇完結。
目次
六ハーンの謀反
大遠征の準備
大遠征の途につく
ベージンへ向けて進発
アルマムベトとチュバクのいさかい
一つ目の巨人マケル退治
クィタイから馬群奪取
キルギス軍奪戦
凱旋
著者等紹介
若松寛[ワカマツヒロシ]
1937年神奈川県生。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現職、京都学園大学人間文化学部教授。専攻はモンゴル史
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感想・レビュー
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syaori
46
大ハーン・マナス。彼の権力は今や絶頂。この巻で語られるのは大遠征。目指すはエセン・ハーンの治める大ベージン、迎え撃つは勇将コングルバイ。彼の父をマナスが平らげた因縁の相手。手に汗握る展開が続きますが、語りの調子に乗って一騎当千の勇士たちとベージンへの道を馳せる楽しさは格別です。最後は和睦成立で本巻終了。その後マナスの死が描かれ、彼の子孫へと物語は続いてゆくようなのに、それが追えないのは本当に残念! ただ、そのおかげで私のバートゥルたち、マナスと彼の勇士たちは永遠にキルギス山々や草原を駆けているのだけれど。2019/05/29
Oltmk
1
少年篇・青年篇で伏線があったマナス率いるキルギス軍のベージンへの大遠征が描かれ、一大クライマックスとしてマナスやアルマムベト達勇士の大活躍が描かれ勝利し和睦で終わりを迎えるが、ここまで来たならマナスやアルマムベト達が戦士し終わりを迎える小遠征までを見届けたかった気持ちになり、三部作が抄訳だったのは残念だった。マナス三部作の翻訳を担当した若松寛氏に続くモンゴル・テュルク系の英雄叙事詩の研究者は坂井弘紀氏しか聞いた事がないが、彼によってマナス全編の翻訳を期待した。2020/07/27