感想・レビュー
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禿童子
21
西洋の演劇の祖がギリシャ悲劇とすれば、中国の演劇の嚆矢が13、14世紀の元曲になる。主人公の一人語りに他の出演人物が掛け合いをする形で進行する。能のシテのように「私はどこそこの誰々」と自己紹介と状況説明から始まる。翻訳をした池田大伍は歌舞伎の新作も手掛ける実作者なので、セリフは語呂がよい。「殺狗勧夫」「救風塵」「城南柳」「老生児」「魔合羅」の翻訳5作品と、「気英布」を翻案した「盛衰記上総之巻」(これが一番面白かった)。中国の白話(日常会話)の翻訳は至難の業と聞く。類書を見ないので貴重な作品だと思う。2019/02/02
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- 和書
- モロー博士の島 角川文庫