出版社内容情報
災害、飢饉、病気、犯罪、戦争──日本列島に暮らす人々の生を脅した様々な危険と、それに抗し生きた人々の知恵と努力の変遷を巨細にわたって描き出す、まったく新しい近世史。
内容説明
地震、噴火、飢饉、病気、戦争、犯罪―日本列島に暮らすひとびとを次々と襲う災禍。国家体制にひとの生命が包摂される以前、これらの危機に抗し、ひとびとはいかに生き延びたか。近代国家の成立はそれをどのように変容させたか。その知恵と努力、変遷の過程を巨細にわたり描き出す先駆的な歴史学の試み。
目次
第1章 住民の人命環境史
第2章 ひとに殺される恐怖―十六、七世紀
第3章 生きることの選択肢―十七世紀
第4章 生きる上での知識―十七世紀末・十八世紀初頭
第5章 民衆知と「文明」―十八、九世紀
第6章 近代国家直前期の列島の環境―十九世紀
終章 近代の生命環境―生きてきた時期の経験から
著者等紹介
塚本学[ツカモトマナブ]
1927年福岡県生まれ。東京大学文学部史学科卒業。愛知県高等学校教諭、信州大学人文学部教授などを経て、国立歴史民俗博物館教授、1992年定年退官、名誉教授。2013年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
9
2001年平凡社選書刊、22年復刊。近世という時代を無名の人々がいかに生き抜いてきたかという視点から描き出す一冊です。きわめて生命の価値が軽かった近世初期から、しだいに法や知識がいきわたり「文明」化されていく一方で、国家という存在が生命を強く規定するようになる、という構図でしょうか。選書版が絶版になってからなかなか入手困難だったのですが、復刊はありがたい限りです。2023/07/24
娑婆乃呼吸
1
元は2001年くらいに刊行されたものですかねー。 近世史の本はあまり読んだことなかったので、個人的に新鮮でした。 権力側についての話ではなく、いわゆる歴史に名を遺さない人々についての論。最近そういった文献にも触れたいなと思い始めてきています。 中世と近世の狭間は曖昧なものですが、綱吉期あたりになってもう近世といえるのかな、と感じました。 2022/06/20