出版社内容情報
年中行事や芝居見物、福沢諭吉ら洋学者の思い出から、御維新の衝撃とその後の「おちぶれのひいさま」としての労苦まで、徳川家御典医の家に生まれた娘が語る逝きし世の面影。
内容説明
役者のような風情だった父のこと、父に聞いた公方様のこと、一緒に遊んだ福沢諭吉ら洋学者のこと、大奥の火事で亡くなった叔母、和蘭字書刊行に尽くした叔母、咸臨丸に乗った叔父のこと、花見、月見、七夕、芝居見物、子ども心に聞いたおんみつ話、忍び来る江戸の終焉―。御典医の家に生まれた少女の目に映った維新前夜の風景。
目次
維新前の洋学者たち(私の見た洋学者たち;蘭学書生かたぎ;宇都宮三郎さん;柳河さんのカンカンノウ;きつねこんこん;石井謙道さん;福沢諭吉さんのお背中;あやめかきつばた)
桂川家の人びと(奥医師の生活;元日の御登城;拝領;お手添えのがん;おこうやく;みくら島;の亡霊;公方様に化けた狸;御殿のおばさま;ジーフハルマと香月叔母;浜風;七つの御祝;ながのお別れ;おはま御殿;天下泰平;新銭座のおじさま;御維新の下地;あぶりこの火事;藤沢志摩守;甫策おじ;虱の殿様;山川のおば様)
名ごりの夢(雲にかけ橋;黒船さわぎ;おんみつ話;大川端;調練場と西洋館;一筆あんま;初午まつり;雛まつりとお手習い;そのころの隅田川;向島と上野;七夕;氷;花火の両国;思い出の秋;むかしの食物;もたれ袋;更紗とワーフル;首級の供養;身は姫じゃ;ちーばかま;あのころの芝居見物;私の見た「由良之助」;芝居小話;芸者のはなし;春の思い出)
嵐のあと(椎のあらし;初ほととぎす;縁談;人生の浮き沈み;夫婦喧嘩;江藤さんの獄門;副島先生;煉瓦;建白書;南洲墓畔)
著者等紹介
今泉みね[イマイズミミネ]
1855年江戸生。桂川甫周次女、今泉利春夫人。1937年没
金子光晴[カネコミツハル]
1895年愛知県生。慶應義塾大学文学部中退。詩人、1975年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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