出版社内容情報
平凡社ライブラリーの人気シリーズ「文豪怪異小品集」の記念すべき10冊目は幻想怪奇「童話」。鏡花、乱歩、谷崎、室生犀星、巌谷小波など名だたる文豪の意外な名品を精選。
内容説明
『おばけずき』に始まる平凡社ライブラリーの夏の定番“文豪怪異小品集”シリーズの記念すべき十冊目「特別篇」は、幻想童話―文豪たちによるファンタジー名作集!泉鏡花「海戦の余波」、内田百〓「王様の背中」、宮沢賢治「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」のほかこの分野の創作に長けた名匠たちが決まって生涯に数作、あたかも示し合わせたかのように書き残した名作を厳選し、一巻に集成した、かつてないアンソロジー。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学文学部卒業。アンソロジスト、文芸評論家。1982年から「幻想文学」、2004年から「幽」の編集長を歴任。著書に『遠野物語と怪談の時代』(角川選書、第64回日本推理作家協会賞受賞)ほかがある。近年は児童書の監修も手がけ、活躍の場を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさ
26
東雅夫氏のアンソロジーの中でも異色ではないか。文豪たちの童話が集まると、もうなにがなんだか、驚き、嬉々とし、悦に入る。それが次々と。谷崎潤一郎の描く人魚、三島由紀夫の描くおばあさん、芥川龍之介の犬、百閒の桃太郎…。こう続けられると、困ります。2022/03/01
凛風(積ん読消化中)
15
江戸川乱歩や谷崎潤一郎、小川未明に佐藤春夫など、錚々たるメンバーによる童話アンソロジー。16作品を収める。与謝野晶子の『うなぎ婆さん』のナンセンスや三島由紀夫の処女作『大空のお婆さん』(婆さん並びはたまたまです)の童話に向かない感じにニンマリしながら読んでいると、室生犀星の『寂しい魚』の余韻の深さに絶句する。芥川龍之介の『犬と笛』は、何度も繰り返す語りがいかにも昔話な作りで、さすが芥川。どれも秀作揃いで、読んで良かった。平凡社ライブラリの本は紙質が良く、色や手触りも好き。それだけでも読書時間が楽しくなる。2021/11/18
灯梨
13
文豪たちによる珠玉の幻想童話集。16人の名匠が紡ぎ出す世界におぼれる。なんて贅沢なアンソロジーだろうか。美しくてあやしく、切ない作品たちに魅了される。特に好みは、夢野久作【ルルとミミ】谷崎潤一郎【人魚の嘆き】小川未明【眠い町】芥川龍之介【犬と笛】。2022/03/14
組織液
11
乙女の本棚シリーズの「ルルとミミ」から、他の文豪が書いた幻想童話も気になったのでこちらも。泉鏡花「海戦の余波」、江戸川乱歩「幼虫の曲芸」、谷崎潤一郎「人魚の嘆き」が特に好みの作品でした。「幼虫の曲芸」は極論を言えば虫の生態を説明してるだけなのに、ここまで魅力的な文を書けるとは流石文豪って感じですね。2023/08/18
Moeko Matsuda
7
どれも面白かったが、室生犀星「寂しき魚」、佐藤春夫の「おもちゃの蝙蝠」、谷崎潤一郎「人魚の嘆き」が気に入りました。あと、別格で夢野久作「ルルとミミ」。悲しくて美しい作品だったなぁ…。どの作品も面白くて、幻想童話名作選のタイトル通り、読みやすく、且つ不思議で目眩のするようなお話ばかりだった。個人的に、このシリーズにはハズレ無しですね。2021/10/10