出版社内容情報
1832年、共和派市民が政府軍と死闘に。バリケードにはマリユスら主要登場人物たちが。感動のフィナーレは地下道を抜け出た主人公の天上的な死。全5巻完結。
内容説明
コゼットを思いながら、政府軍との死闘に身を投じるマリユス。バリケードには幼きガヴローシュの姿もあった。そこに吸い寄せられるように現れ再び相まみえることとなったジャン・ヴァルジャンとジャヴェール―。生けるもののごとき巨大なバリケードと下水道の果てにすべての惨めな者たち(ミゼラブル)の運命が交錯し、壮大な物語は完結する。
著者等紹介
ユゴー,ヴィクトール[ユゴー,ヴィクトール] [Hugo,Victor]
1802‐85。フランス19世紀を代表する詩人・作家。16歳で詩壇にデビュー、1830年劇作『エルナニ』の成功でロマン派の総帥になり、やがて政治活動をおこなうが、51年ナポレオン3世のクーデターに反対、70年まで19年間ガンジー島などに亡命。小説『レ・ミゼラブル』はこの時期に書かれた。帰国後、85年に死去
西永良成[ニシナガヨシナリ]
1944年富山県生まれ。東京外国語大学名誉教授。専門はフランス文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
44
ベンヤミンが言う通り、パリの地下には集団の無意識が眠っているとしたら、ヴァルジャンが、テナルディエの地下道から脱出の手引きと、ジャヴェールの追跡と手助けがあった場面に注目せずには置かない。この場面は3人が揃うからだ。前に3人が揃ったのは、第3部でヴァルジャンがテナルディエにゴルボー屋敷で監禁された場面だった。前回は隣室から覗いているだけで、今回も瀕死の状態のマリユスはただいるだけの存在だ。キリストは誰かという問いが有効だとすれば、訳者の見立てではヴァルジャンだが、ただそこにいるだけの神として、マリユスこそ2023/09/14
みつ
27
全5巻完結。マリユスたちが籠るバリケードの中にジャン・ヴァルジャンが現れ、ジャヴェールと相まみえる。バリケードはついに破られ、多くの青年が死ぬ中、ジャン・ヴァルジャンはマリユスを運び去る。・・というところで、物語は中断、パリの下水道の話が延々続き、この大河小説のもうひとつの主人公は、大都会パリであることに思いが至る。この後ジャヴェールが自らに下した運命からは、悪役であってもやはり悪人ではなかったことがわかり安堵。マリユスとコゼットに告白する最後の場面でミリエル司祭が与えた燭台の描写があり、幕が閉じられる。2024/11/16
80000木
6
しんどかったー。全編通して、ここ読む必要ある?みたいな部分多すぎてしんどかったけど最後は泣けたなあ。最後まで読んでよかったなあ。2020/10/01
dokusyotyu24
5
ついに読了。なんとも言えない読後感。マリウス、薄情だなあ、という思いが拭えない。それはともかく、ユゴーは何を思ってこの長い長い物語、ストーリーの本筋よりも枝葉の描写や社会に対する考察の方が多い物語、地名や人名に溢れた物語を紡いだのだろうか、発表当時の人々はどのように物語を受け取ったのだろうか、と気になった。2021/01/10
空川 夕
3
良心と愛する人を大切に守り続けようと、自分と向き合い超人的な力を出し続けるジャン・ヴァルジャン。読者だけが知るコゼットの生い立ち・マリユス生還の秘密がつながり、コゼット・マリユス!本当によかったね。感動の連続で何度でも読みたい本です。2025/02/22