出版社内容情報
たったひとつの小壺の行方が天下を動かす! 信長、秀吉、家康と持ち主の運命を左右する器の物語を始め、著者初めての歴史短篇集。
内容説明
秀吉の秘技、家康の妄執、天下人たちの意外な素顔を巧みに描く著者初の中篇歴史小説集。
著者等紹介
加藤廣[カトウヒロシ]
1930年東京生まれ。東京大学法学部卒。54年中小企業金融公庫に入庫し、京都支店長、本店調査部長などを歴任。山一證券に転じ、同経済研究所顧問などを経て、中小企業やベンチャー企業のコンサルタントを務めるかたわら、2005年に書き下ろし長篇「信長の棺」で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
91
著者初読み。表題作“安土城の幽霊”を含む3編の戦国怪異譚。淡々と飄々とした作風と文体の中にも信長、秀吉、家康のポートレートの裏側にある人臭い部分が濃厚に感じられてとても面白かったです。表題作も良かったですが、好みは“藤吉郎放浪記”。巧みな弁舌と開き直りともいえる度胸。信長と出会った頃の20代前半の秀吉。貧しくても生き生きしたさまが読んでいて楽しかったです。2018/10/21
あかは
39
3つの短編集。興味深かった。でも、秀吉に対してはちょっとばかり疑問が残るが、「秀吉の枷」を読めばわかるかもしれない。家康が人間味あってよかった。ただの人という側面がみれて親近感を感じた。つくもなす、機会があればぜひ見てみたい。2016/07/19
onasu
22
初話は秀吉の出世話しだが、流布しているものとは一風違い、他の二話もそうだが、最後の余話でなるほどと。信長に仕える前の足取りははっきりはしていないのだろうから、帰納法で推論したのは流石。 三話目は、その時代に次々と持ち主を換え「天下壺」とも称された茶器「つくも茄子」を話柄に据えた変わり種。足利義満が手に入れてより、大坂の陣まで引っ張るとは壮大。余話では秀吉の小田原の陣での一件から入手法を問うという、これまた上手し。 佳作揃いの中では印象の薄い二作目が表題作とは、タイトルとしては正解だと思うのだけど…。2018/11/28
hideo
17
表題作より、名物「九十九茄子」を扱った作品が面白い。山上宗二の件、本多正純の見方など、創作にしてもなるほどと思わせる部分がある。2015/05/30
naoco
5
つくも茄子の話が一番面白かったです。実在するなら見てみたい!実在するようなことが書いてあったけどそれもフィクション?誰もが知ってる歴史上の人物が中心になってるので、歴史に明るくない私でも楽しく読めました。2016/05/16