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平凡社ライブラリー
叛逆の精神―大杉栄評論集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582767353
  • NDC分類 304
  • Cコード C0330

出版社内容情報

「僕は精神が好きだ」ほか、大杉栄の主要な論文を集める。桁外れに明るく陽気な思想家・大杉栄の社会思想は、その人物像とともに近代思想を考える上で大きな意味を持つ。解説=鎌田慧

目次

僕は精神が好きだ
1(征服の事実;生の拡充;生の創造;鎖工場;賭博本能論;正気の狂人)
2(近代個人主義の諸相;唯一者;意思の教育;主観的歴史論)
3(個人主義者と政治運動;労働運動とプラグマティズム;労働運動と個人主義;ベルクロンとソレル)
4(労働運動の精神;社会的理想論;いわゆる評論家に対する僕等の態度;マルクスとバクーニン)

著者等紹介

大杉栄[オオスギサカエ]
1885年、香川県生まれ。無政府主義の理論家、社会運動家。1901年陸軍幼年学校を中退、05年東京外国語学校仏語科卒業。在学中から足尾鉱毒事件に関心を持ち平民社に出入りする。06年東京市電値上反対事件で最初の入獄、のち赤旗事件でも入獄し語学を独習する。幸徳秋水の影響で無政府主義者となり、大逆事件により労働運動は「冬の時代」に入るが、12年に荒畑寒村と雑誌「近代思想」を創刊。18年伊藤野枝と「文明批評」、続いて「労働新聞」「労働運動」を創刊し労働運動に積極的にかかわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

7
大杉が両者に見るスラヴ民族論とゲルマン民族論。「バクーニンはスラブ人をもともと最も自由な性質の民族だと考えていた。そしてドイツから輸入された専制政府の羈絆さえ打ち破れば、そこから自然に、若い自由な民族が発達して出て、それが文明の進歩のために非常な助けをすると信じていた。バクーニンのパンスラヴィズムというのはそれだ…しかるにマルクスはそれと全く反対の、いわゆるパンゲルマニズムを抱いていて、ドイツはロシアと結びついたために反動的になり、そしてこの影響が全ヨーロッパを専制に導くのだと主張していた」2022/03/09

amanon

6
その挑発的なタイトルに臆することなく、今日においてこそ読まれるべき一冊。確かに今する革命を唱え、実行に移すのは不可能だし、馬鹿げた愚行でしかない。ただ、大方の人間が理不尽な立場に押し込められている一方、利益を独り占めしている人達がいるという事実、そしてそれを根拠づけている社会的な仕組みの根本はさして変わらないという現実は否定しようがない。とりあえず、冒頭の「僕は精神が好きだ」の一文は必読。昨今の凡百のJポップが束になってもかなわないくらいの言葉の力がみなぎっている。イデオロギーを抜きにしてまずは一読あれ。2018/06/13

白義

6
大杉栄にとって個人主義、アナーキズムは自らの精神を一つの彗星へと化す、沸き立つ生命の跳躍だったのだろう。とにかく歯切れがよく、勢いのある名文である。言葉のガトリング砲だ。抵抗こそ創造だというアウトロー精神を近代日本でとりわけ貫いた作家の一人だと思う。中森明夫が取り上げたように、確かにパンクといって過言じゃない。賭博本能論、近代個人主義の諸相など個人の内側に灯る生命を称揚した文章が面白い。ソレルやシュティルナーへの興味もわいた。目次より先に「僕は精神が好きだ」を持ってくるのが実にナイス2012/09/21

澤水月

4
僕は精神が好きだ…思想に自由あれ。しかしまた行為にも自由あれ。そしてさらにはまた動機にも自由あれ…カクイイ!本書は基本海外の思想紹介で自伝よりは難解。が、突如日本の評論家実名で喧嘩売りまくる!「…こりごりした上の、骨身に刻み込まれた結論だ…が、人間というものを信じたい…誰かが毀してくれ。理屈はもう聞きあきた。どうか事実の上で見せてくれ…」秘密裁判で仲間ら処刑(大逆事件)に死に損ね関東大震災時の虐殺までの疾走感溢れる書、奇しくも秘密保護法案可決日に読了。これからの時代どう生きるか考えるか指針となった(続2013/12/05

抹茶ケーキ

1
「不健全な社会の中で健全に生きることはむしろ不健全。求められるのはそのような現状に対する叛逆である」みたいな主張。国家が(少なくとも部分的には)悪であることは明白だと思うのだけれど、その国家を廃止した後のビジョンがまったく見えない。そのあたりのことを語らないとどんなに格好よくアジっても、結局、「若気の至り」としか思われないんじゃないだろうか。アナーキズムにもサンディカリズムにも共産主義にもあまり詳しくないので、そのあたりのことを知りたいなと思った。あとは当時の西洋思想の受容状態がわかって面白かった。2015/10/14

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