平凡社ライブラリー
回思九十年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 439p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582767322
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0323

内容説明

遠い日の故郷福井の想い出、奉公先での読書と夜学で出会った恩師、愚かしい戦争と「東洋」の消滅、数万片の甲骨資料のトレースと、ガリ版刷りの日々―自ら綴った生い立ちと、各界著名人との対談から、白川静の学問と人生が浮き彫りになる。九十歳を記念して刊行された魅力あふれる一冊。

目次

私の履歴書
インタビュー・対談(雲山万畳、猶ほ浅きを嫌ふ(呉智英)
古代文字を探る(酒見賢一)
書と字(白井晟一)
金文を語る(今井凌雪)
書の本質を探る―芸術性を求めて(北川栄一)
日本人が忘れたもう一つの教養(宮城谷昌光)
古代人の心象風景(谷川健一;山中智恵子;水原紫苑)
日本人と漢字世界(江藤淳)
漢字の宇宙―芸術にいたる線の交錯(粟津潔)
漢字の素晴らしさを伝えたい(石牟礼道子)
漢字 古代と現代の架橋(吉田加南子))

著者等紹介

白川静[シラカワシズカ]
1910年福井県生まれ。立命館大学法文学部卒業。立命館大学名誉教授。2004年文化勲章受章、2006年10月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひよピパパ

13
漢字学の泰斗・白川静の凄さと魅力を伝えてくれる一書。日経新聞に連載された「私の履歴書」を収録する他、作家、書家、評論家との対談を収める。そこから、その学識の深さと広さがひしひしと伝わってくる。その学問の根本に『詩経』と『万葉集』との比較文化論的研究があったことを知ることができ意義深い読書となった。対談では宮城谷昌光氏との対談が互いへのリスペクト感が出ていて最もいい。深く、そしてさらに深く研究し続ける学究者の熱い心意気を感じた。2023/08/01

roughfractus02

9
日経「私の履歴書」と対談鼎談を含む本書は「回想」ではなく「回思」と題される。この「田」は頭蓋骨を上から見た形からきており、心臓の形である「心」と合わさった「思」を著者は「心に思いなやむ」と解する(『文字逍遥』)。著者の「履歴」を基点に「思いなやむ」過程を「回」る本書は、「東洋」を「思」う著者に、戦中戦後の政治「思」想が左右に揺れ動く中で様々な非難を浴びながらも「孤絶」を保ち、芸(学芸)だけでなく世俗にも「遊」んだ様を語らせる。画自身に意味を見出すその異邦人的な知覚は、一字一字書き写す修練で得られたようだ。2021/01/13

mikio

6
グローバルなものはそれぞれの地域性が確立された上で、お互いの理解の上に一種の通時性、時代的な共通の理解というものが生まれて、初めてグローバルである。/歴史は決してグローバルにならない。ただ通時性という同時代性において共通するということはありうるが、歴史的なものが共通になったりすることは決してないのです。(P428)2021/09/11

BIN

5
白川静さんの自伝と著名人との対談集。自伝では恩師のことや一般向けの字書作りへの想いについて書かれてます。一般向けとは言え、ちょっとお高いのでなかなか手が出しにくいですが。元の字の意味を壊してしまった新字体への改定に批判してしまうのはよくわかりました。宮城谷さんとの対談は両者ともよく喋っており、他の対談に比べると(笑)が多い。白川さんへのリスペクト感がよく表現されてます。ないと思いますが、これ以上漢字を壊さないでほしいところです。2021/06/11

3247

3
漢字の起源から古代史と古代社会ならびに漢字の成り立ちを解き明かした碩学の人にして文字学の巨人、白川静の自伝と対談集。日経新聞連載の「私の履歴書」は生涯の回想で、青年期に「詩経」と「万葉集」を比較文学するという気宇壮大な試みと、それを実直に考究していく学問的姿勢がその華飾ない文体から伺える。対談では幾つかの文字の起源と意味の説明しているが瞠目させられる。また一貫して現代の漢字制限に警鐘を鳴らしており、「古典を廃するということは、源泉が枯れるということである」と国語教育にも釘を刺している。2012/07/05

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