内容説明
一九九七年、ハノイ、マクナマラ元米国務長官ら、ベトナム戦争を戦った両国要人らが対話した。この戦争はなぜ回避できなかったのか?なぜ早期に終結できなかった?なぜ機会を失したか?真摯な、ときに激烈な討論の中で明かされたのは、悲惨なまでの互いの無知、無理解、誤認…二〇世紀の戦争をめぐる対話がもたらす、二一世紀の紛争解決・平和構築に向かう巨大な教訓。
目次
第1章 敵との対話はこうして始まった
第2章 戦争目的は何だったのか
第3章 戦争回避の道はなぜ消えたのか
第4章 プレイク事件と全面戦争突入
第5章 かくて秘密和平交渉は失敗した
第6章 両者は何を学んだのか
著者等紹介
東大作[ヒカシダイサク]
1969年、東京生まれ。1993年から2004年までNHKディレクターとして、NHKスペシャル「我々はなぜ戦争をしたのか―ベトナム戦争・敵との対話」(放送文化基金賞)、「イラク復興 国連の苦闘」(世界国連記者協会・銀賞)などを企画・制作。2004年退職し、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学へ留学、大学院で国際政治を専攻。09年12月より、国連アフガン支援ミッションにおける国連政務官として勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Keita
3
著者の講義の教科書として。泥沼の戦争に至った両者の最近行われた対話から、いかに互いについて無知なまま戦争に突き進んでしまったかがありありと描かれています。果たしてどの機会を活かしていればこの戦争は避けられたのか、学べることはなんなのか。戦争というものを知るために読むべき1冊だと思いました。2011/04/20
でこれ
2
あの時、アメリカが、ベトナムが何を思っていたかがよくわかり、相手への理解を深めることや自らの認識を伝えることの重要さを改めて認識できた。2015/10/21
みそかつ
2
マクナマラ氏がアメリカだけでなくベトナムにも責任があると何度も強調しているのは『回顧録』によって自ら責任を認めたからか。あるいはそのためにこそ『回顧録』を書いたのかもしれない。2015/08/10
くりーむそーだ
2
国際政治における平和の一番の近道は両国首脳同士の直接的対話と相手文化への積極的な理解であると思い知らされる事実ばかりだった2012/12/13
だららん
2
ベトナム戦争から4半世紀たち、当事者らがハノイに集まって対談した(ハノイ対談)記録。当時、米国と北ベトナムの間でどのようなコミュニケーションが取られていたのか?当事者らは双方についてどんな誤解をしていたのか?それらがよくわかる。戦争とは双方が決意して行われるもので、どちらか一方が悪いということにはならないはずだと思うが、ベトナム側は、共産党への配慮のためか自分たちの非を意地でも認めてようとしていないように感じ、少し嫌悪感がした。この対談に政治目的があるように思えてならなかった。2012/12/11