出版社内容情報
この社会と時代が強いる課題に最も敏感に反応し、大胆に方法的な変貌を遂げていった思想家・藤田省三。代表的論文によりその「戦後精神」の軌跡をたどる。市村弘正の力作解説50枚。
内容説明
天皇制に関する鮮やかな政治思想史の仕事からエッセイ「維新の精神」の強度への飛躍、『精神史的考察』に結晶する方法的転回、そして『全体主義の時代経験』の苦闘に至る。「戦後精神」の最終走者を自認した思想家は、曲折するその思想的軌跡のなか、どんな時代の危機をどんな深度で考え抜いていたのか。代表的論文を市村弘正「藤田省三を読むために」とともに読む。
目次
1(天皇制国家の支配原理 序章;理論人の形成―転向論前史;「プロレタリア民主主義」の原型―レーニンの思想構造)
2(維新の精神;日本社会における異端の「原型」;或る生の姿、或は範疇の混同―アイン・レーベンスビルト;情熱的懐疑家;糟粕論;五人の都市;雄弁と勘定;「飢譜」讃―主義とは何かについての徹底的考察)
3(或る喪失の経験―隠れん坊の精神史;松陰の精神史的意味に関する一考察―或る「吉田松陰文集」の書目撰定理由;或る歴史的変質の時代)
4(精神の非常時;今日の経験―阻む力の中にあって;「安楽」への全体主義―充実を取り戻すべく;『全体主義の時代経験』序)
著者等紹介
藤田省三[フジタショウゾウ]
1927年生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、法政大学法学部教授を依願退職。1980年、法政大学法学部教授に復帰、93年定年退職。2003年没
市村弘正[イチムラヒロマサ]
1945年生まれ。現在、法政大学教授。思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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