内容説明
舞台は中国、元時代といいますから遙か昔のこと、聡明かつ若くて美しい主人公の未央生は、生来、色を好んで、どこまでも佳人を求めようというお人。しかも仙術を受けて精力絶倫、と来れば女性も放っておきません。渾身を傾けて性の妙技、秘術を尽くし、次々と女性遍歴を続けます。本書は、人生の機微、男女の遣り取りの絶妙さを綴った、中国清代、風流小説の代表作。
著者等紹介
伏見冲敬[フシミチュウケイ]
1917年、静岡県生まれ。36年静岡県立庵原中学校卒業後、上京し、比田井天来、石田幹之助、小林高四郎に師事。東方学会会員。中国書道史専攻。東京教育大学講師、千葉大学講師、大東文化大学教授などを歴任。2002年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アカツキ
10
見た目が良く聡明な未央生は和尚が止めるのも聞かず色事の道を究めると決意。口八兆で美貌の妻を手に入れると堅物な妻をあれよあれよと色好みに変えてしまう。お楽しみも束の間、未央生は世にいる美女を食い漁ろうと思い立って…。面白おかしく書かれた艶話。馬鹿馬鹿しさがこの小説の良いところだけど、妻側のあんまりな展開に真顔になってしまう。因果応報というのはわかるけれど、振り回された妻の方が罰が重いのが納得いかないなぁ。2022/11/05
mimm
4
久々に漢文ものが読みたくて手にした一冊。…これかよ。原作はかなりエロティックな表現らしいのですが、適度にぶった切ってあっさりさせた感じは、その堅さを残す文体と相俟って(とはいえテンポはいい)、源氏物語を思い出させるような(但し即物的)。最終的に仏教への信仰心に持っていく、因果応報的な感じは日本霊異記を思い出させると言うか。文体が軽やかだけど、筆致によってはなかなか悲惨な話だよなーともとも。難しい漢字が、所持してる漢和辞典にも載ってなく、やむなく想像で補っていったら…妄想爆発で逆にエロくなりました。わお。2015/01/18
nora
1
長らく入手困難だった完訳本。若く聡明で美しい未央生は、仙術で精力絶倫になって女性遍歴を続ける。性の妙技、秘術が白日の下に・・・。中国風流本の随一の傑作!2010/08/05
こひた
0
作者とされる李漁も奔放な生き方だが、この本はエロを書きたいんじゃなくて浮気がすぎると因果応報で不幸になるという忠告で書いた本です、という冒頭は言い訳がましいようであるいは誠実さへの憧れも本心なのではないかと読む。仏教説話っぽい形態をとっているので本編では寝取りが寝取られに返ってくるが、離婚調停の弁護士が浮気は夫婦どちらかが繰り返し一方は貞淑な傾向だと語っていたことがあり、必ずしも浮気は応報されないという未央生の最初の反論がより現実に近いようなのが寂しいところ。この頃から枕の使い方トークあったのか。2015/05/24
toutong
0
中国の古代エロ本。最初から最後まで飽きずに読める。金瓶梅よりも話がまとまってる感じ。2013/09/17