内容説明
平安時代に設置され、軍事・警察を司った“令外の官”―長くそうした存在としてだけ考えられてきた検非違使は、じつは中世、天皇の行幸や祭礼、大葬など国家的大行事の掃除を担当、キヨメを職掌とする中世被差別民を統轄し、ケガレを管理する権力だった。中世天皇制の特質を担い、中世身分制の形成に深くかかわる検非違使の全体像を描き出した名著が新論文を増補して再登場。
目次
1 検非違使とキヨメ
2 非人施行と公武政権
3 中世前期における非人
4 散所非人
5 修正会と検非違使
6 室町幕府の下級官人―公人を中心に
付論 賀茂祭と検非違使の位置
著者等紹介
丹生谷哲一[ニウノヤテツイチ]
1935年愛媛県生まれ。京都大学文学部卒業。専攻、日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
14
某ゲームで、確実に3000戦以上ぶっ倒している検非違使について知りたかったので読みました。当初は軍事警察を担う令外官として設置された検非違使が、末法の世、鎌倉幕府、室町幕府と時代が移るにつれて都のケガレを祓いキヨメを行うようになり変化していく過程等を論じた本。日本史では軍事警察を司るとして習ったんだけど、彼らがいなければ化野や蓮台野へ死者を葬ることもできず、都にはもっともっと疫病が蔓延してたんだろうなあ…。2015/06/06
陽香
2
200808082016/10/17
いちはじめ
2
検非違使と非人のかかわりが深いことを論じている。いろいろなところに書いた論文をまとめたため、話にやや重複があるのと、ちょっと難解な面はあるが、刺激的。2008/09/06
眉毛ごもら
1
審神者として読まねばと思いつつタイミングが合わず今頃。漢文体の文書が返点等無し訳文無しで大量に掲載されているため解読するのでひと難儀したのである。正直正確に読み下せたか自信がない!基本的には検非違使配下の被差別民と言われる人達のことが多いが結構彼らも皮革製品の製造や京の清掃業務等嫌がられるが必要な事を一挙に握り既得権益を使ってうまくやっていたようなので強いなと思うたり。検非違使の実際の業務としては最終章の賀茂祭のところが一番詳しい。清掃業務、設営、賀茂祭の行列、犯罪者の確保、文書の確認等幅広い職種でした。2021/04/29
南北
1
令外官である検非違使に関する論文を集めたものです。一般には警察としての職務を果たしたと思われている検非違使ですが、賀茂祭のときの道路清掃を担当しているなど「キヨメ」の役割も果たしていたことがわかります。非人との関わりも多く、今風に言えばイケメンで金持ちあることが就任の条件となるなど意外な発見があります。2017/05/19
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