内容説明
対象物に他者と一緒に注意を向け、それを共有しようとする「共同注意」は、人間がもつ「共有欲求」を表現する原型的な行動であり、乳幼児の精神発達の諸側面と密接に関連し重要な役割を担っている。本書は、「共有欲求が人間の心がもつ本質的な働きであるならば、それは乳幼児期にこそ明瞭な形態をとって現れる可能性がある」という視座から、乳幼児に見られる共同注意に焦点を当てる。共同注意の起源や最初の展開にまで遡り、共有欲求行動がもつ基本的役割を多彩な観点から考察する。複雑な共同注意行動を「構成形態」「出現形態」「感覚様相」の観点から分類し、乳幼児の共同注意の発達過程が5発達階層論として初めて提案されている。
目次
第1章 共同注意の研究経緯と本書の位置づけ
第2章 共同注意の種類
第3章 人間と類人猿の共同注意
第4章 前共同注意
第5章 対面的共同注意
第6章 支持的共同注意
第7章 意図共有的共同注意
第8章 シンボル共有的共同注意
著者等紹介
大薮泰[オオヤブヤスシ]
1951年神戸市生まれ。1974年早稲田大学文学部卒業。1979年早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学(心理学専攻)。現在、早稲田大学文学部教授、博士(文学)
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