内容説明
一九七九年夏、熱く乾いた空気のなか、トルコでの遊牧生活は始まった。家畜の群れとともに秋営地から冬営地、夏営地へ、活気に満ちた一年がすぎてゆく―。遊牧という生活様式がユーラシア文明に及ぼした影響をめぐる考察を交えながら、「自由」な暮らしを求めるユルックたちの営みをヴィヴィッドに綴った民族誌。
目次
第1章 秋営地にて―搾乳と家畜管理(チャドルいり;放牧の技術 ほか)
第2章 移動―秋営地から冬営地へ(迂回路;チャンドル・ヨル ほか)
第3章 冬営地にて―家畜の出産と認識体系(家畜の出産と成長;家畜の病気 ほか)
第4章 移動―冬営地から夏営地へ(コプラングチの花;ヤイラ・トプラク ほか)
第5章 夏営地にて―経済活動と定住化(経済活動;社会構造 ほか)
著者等紹介
松原正毅[マツバラマサタケ]
1942年、広島市に生まれ、愛媛県に育つ。京都大学文学部大学院修士課程修了。現在、国立民族学博物館教授。専攻、遊牧社会論、社会人類学
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感想・レビュー
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めぐみこ
1
遊牧民の生活の意外な過酷さを思い知らされた。漠然と、もっとのびやかで何者にも縛られない一生を送っていると思っていた。反省。家畜に対する細やかな言語体系は、まさに牧畜で生きてきた人達だと感じた。この記録から三十年超、今ユルックの暮らしはどうなっているのだろう。2014/07/23
こずえ
0
遊牧民の生活を知るのに。知り合いの文化人類学者がおすすめしていたので読んだ
うづき
0
トルコの遊牧民の生活を一年に渡って追っている。まるで知らない世界なので、聞き慣れない言葉も多く難しかったです。誰でも一度は疑問を持ったことがあると思うのですが。何故土地に住むというだけで対価を支払わなければならないのか?何時からこの土地は”誰か”のものになったのか?地球の一部を人間が所有する、そんなからくりの基が見えてくるようです。2010/02/06
やご
0
1979年からほぼ1年間、実地調査のためトルコ系遊牧民ユルックと生活をともにした著者が、その見聞・体験を報告したもの。日本は遊牧文化とは縁が薄く、わたしも知らなかったことばかりで、頻出する遊牧民特有の用語が頭になかなか定着しなかったにもかかわらず、「へ〜、へ〜」と読みきってしまいました。 (続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/0111.htm2007/06/16