内容説明
華やかなJ・ポップの棚の裏や脇にひっそりと並ぶ演歌や往年のアイドルのCD。常に流行の中心だった「歌謡曲」は、なぜ、どのようにしてポップスに主役を譲ったのか。「リンゴの唄」に始まり、女王・ひばりを生み、ふるさと歌謡、ロカビリー、GS、さらには沖縄ポップスやラップを経て変容を続ける戦後歌謡曲の流れを追う。
目次
米軍キャンプとジャズ
女性歌手の活躍
異国情緒の氾濫
伝統回帰とお座敷ソング
ラジオ、映画、うたごえ運動と歌謡曲
最初で最後のジャズ・ブーム
マンボ、タンゴなどラテン音楽の流行
ハワイアンとウエスタン
シャンソンの静かなブーム
空前の浪曲ブーム〔ほか〕
著者等紹介
北中正和[キタナカマサカズ]
1946年、奈良県生まれ。雑誌『ミュージック・マガジン』編集部を経て、音楽評論家に。ポピュラー音楽全般について旺盛な評論活動を展開
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
60
☆10。みの氏が「邦楽を通史で論じるという試みはほとんど行われていないのです」と著書で書いていたが、その数少ない、しかしとても優れた邦楽通史がこれ。残念ながら期間が戦後から2003年までだが、さすが北中正和氏。その深い音楽知識を縦横無尽に書き尽くした内容。普通は歌謡曲かロック/ポップスかのどちらかに重心がかけられたり、無視されたりするが、そこは北中氏。それぞれのジャンルの音楽の影響、関連、架橋状況とか、偏見無くバランス良く書かれている。よくぞここまで調べてくれたものだと感謝。細川周平氏絶賛の名著。2022/10/05
しゅん
9
敗戦直後のジャズ(再)流入からヒップホップまで。歌謡曲とロック・ポップスを分けずに「にほんのうた」として捉えることによって、今までの枠組みにとらわれない流行歌の特徴をあぶり出している。新しいものがポピュラーに吸収されヒットし、やがて廃れていく。歌謡曲もGSも演歌もフォークもニューミュージックもバンドブームも全て同じ道を辿っていることがわかる。特筆すべきはその情報量で、レコード会社のお抱えバンドのメンバー全員を列挙するところなんか特に圧巻。ものすごい情報量で書かれていることがわかる。2019/10/19
unterwelt
1
2003年刊。終戦直後から90年代後半までのJポップを含めた日本の歌謡曲史を追った一冊。通して読むと日本の歌謡曲が海外の音楽に影響を受け吸収してきた事が分かります。2018/10/16
いちはじめ
1
戦後歌謡曲の音楽的変遷について書いた本。その種の本はいくつか読んでいるが、これが一番すっきりしているように思う。2003/12/28