平凡社ライブラリー
精神史的考察

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  • サイズ 文庫判/ページ数 301p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582764697
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0310

内容説明

自分の頭で考えること、想像力を高めること、敗北の経験から学ぶこと、その糧を求める人々へ贈る。精魂を込めた最高傑作。

目次

或る喪失の経験―隠れん坊の精神史
史劇の誕生―『保元物語』の主題についての一考察
松陰の精神史的意味に関する一考察―或る「吉田松陰文集」の書目撰定理由
或る歴史的変質の時代
市村弘正「都市の周縁」をめぐって
「昭和」とは何か―元号批判
戦後の議論の前提―経験について
離脱の精神―戦後経験の一断章
批判的理性の叙事詩―アドルノ『ミニマ・モラリア』について
新品文化―ピカピカの所与

著者等紹介

藤田省三[フジタショウゾウ]
1927年生まれ。思想史家。53年東京大学法学部卒業。以後、中断をはさんで93年3月まで法政大学に勤務
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

獺祭魚の食客@鯨鯢

43
『「もういいかい」「まあだだよ」という遊戯の「かくれんぼ」。鬼になり、眼かくしをし、何十かを数えた後、さて仲間どもを探そうと瞼をあけて振り返った時、僅か数十秒前とは打って変わって目の前に突然に開けている漠たる空白の経験を恐らく誰もが忘れてはいまい』この文章に試験で目にした時、感じた頭を殴られたような衝撃は今も忘れられない。  丸山眞男氏の愛弟子である著者は、誰もがしたことのある「かくれんぼ」という遊びを社会学的考察した。 「鬼」とは人間社会から疎外された人間の成れの果てであり崇め奉られる神と対極にある。2021/09/02

zirou1984

28
丸山真男の弟子であり「戦後精神」とは何かを考察し続けた思想史家、藤田省三が70年代から80年代に発表した文章を纏めた論考集。最初にある「或る喪失の経験」が何より素晴らしい。路地裏で行われていた子供達の遊び「かくれんぼ」を取り上げる所から始まり、戦後日本のあり方について考察しながらベンヤミンの「勝利者が心得るべきことは、敗北の経験を敗北者だけに委ねないことである」の言葉へと繋げていく。決して目に見えない存在である精神、それを言葉にするために誠実に考察を積み重ねよるとする姿勢には何より経緯を表したくなるのだ。2013/09/16

politics

5
隠れん坊、『保元物語』からアドルノ、戦後思想まで幅広い対象を「精神史」的に考察した小品集。特に藤田氏の松蔭論は興味深かった。「松蔭には主著はなく、その短い生涯唯一つが主著」だとし、失敗と蹉跌の事件を幾度となく繰り返し最終的に刑死という鬼気迫る最期に向かっていくところに、人間精神の極限を見るという。左派の著者は松蔭に一定の「共感」を持っていることは興味深かった。藤田氏の諸論は共感しかねる部分が多いものの、やはりその独特な理論からはまだ学ぶべきところは多いのだろう。2020/12/27

chanvesa

3
『全体主義の時代経験』には底に諦念が流れているような気がするが、『精神史的考察』には怒りや挑発、突き放しを含んだ強さがある。歴史に関する考察、時代に関する考察、どちらにもそう言える気がする。日々の生活において「理性なき合理化」への抵抗(「新品文化」)、「不安の自覚」(「或る歴史的変質の時代」)、「経験」がもたらす時代の蘇生(「戦後の議論の前提」)といったキーワードを反映させるべき状況が強まりつつも、敗北はさらに濃厚になっている気がする。この時代の著者なら、敗北覚悟を恐れることを拒否するだろうが。2013/02/17

ЯeoN_Hoff

0
おこの者と成り果てても、どう生きるかを考えることにする。

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