内容説明
言葉に対する鋭敏な感覚により、常にこれまでの文学史や社会制度を戦略的に転覆してきた作家、金井美恵子。小説内に頻出する「水」、「皮膚」、「不在」といったモチーフから、作家の世界観を鮮やかに浮かび上がらせる。
目次
序論 「不在=現前」論
1(水・蜜・桃 テクストの聖痕;水の誘惑 柔らかな強度;水=文字、猫の舌の描く)
2(それは“あ”からはじまる;書くことの苛立ち―『岸辺のない海』を読む;羅列と反復 統辞論的な失調について)
3(悪意に充ちた接近の危うさ;一義性を揺らす分裂的な強度;穏やかで不穏な隣接の試み)
4(「「声を包む」声を包む」声を…―『恋愛太平記』を読む;あふれでる繋辞領域―『柔らかい土をふんで、』を読む;記憶的・映像的・編集的―『噂の娘』を読む)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
3
15-74 男達の視線は私の肉体の桃果を完熟させるために必要な陽の光と水分でもありました。…そして、男達の中で、私は処女として君臨し、そうすることで、あの人のために、私は自分の肉体を永遠の生贄、あの人の司る祭儀の巫女に変えようとしました。… 金井美恵子論 初出・「早稲田文学」‘92 ・「文學界」‘96 「ユリイカ」‘98 『あかるい部屋のなかで』‘95 「すばる」‘98 その他… 言葉に対する鋭敏な感覚で、これまでの文学史や社会制度を戦略的に転覆してきた作家、※2011/10/19
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2
「河口」は「くずれる水」連作に入らないのでは? 単行本目次で別の場所に配置されている。2018/11/10