内容説明
『常陸国風土記』『播磨国風土記』『出雲国風土記』『豊後国風土記』『肥前国風土記』のほか、各地の風土記の断片すべてを収録。美しく豊かな風土のありさま、土地の物産、地名の由来が、おおらかに語られる。詳細な現在地名との対照表を付す。
目次
常陸国風土記
播磨国風土記
出雲国風土記
豊後国風土記
肥前国風土記
風土記逸文(山城国;大和国;摂津国;伊賀国 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三休
1
逸文には『日本書紀』成立以降の知識が反映されている。常陸国、豊後国、肥前国風土記、すべてに共通するのは、景行天皇紀、ヤマトタケルと関連してツチグモなど先住民話が出てくるところである。これらはみな地名の由来を語るだけであり、これが書かれた時期の地域の情報ではない。都で話されていた物語を各地に運んだ一人が、これらを書いた、中央から派遣された国司たちだったのであろう。ヤマトタケルの名前が風土記によって倭武天皇、日本武尊などとなっている。ヤマトが倭なのは『日本書紀』よりも古く、日本なのはそれより後なのであろう。2015/04/04
kinaba
0
解説で書かれている通りなんですけども、地方ごとというよりは時代ごとの、編纂の目的に応じたそれぞれの記述態度の違いが興味深かったです。/ もっと単純な感想としては、自分の住処に近い常陸国の風土記は読んでいて地図や風景が目に浮かんで楽しい…楽しいということ自体が千年以上の時を超えた繋がりを感じられてまた楽しい。他のクニの記録でも同じ事を思えるよう旅に出たくなりました。2014/04/06
みどりです
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暇な時にパラパラとめくると楽しかった 2023/09/20
眉毛ごもら
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風土記である。古今東西の地名から伝説、名産品まで集めた地理志になるはずだったが全部作られなかった上に散逸したものが多く完品は出雲の国分だけとのこと。残念。たしかに今残っているものも各国の特色が出た、文体も項目もバラバラのものである。アンソロみたいな感じで個人的には楽しいけど国家事業としてはだめだったのだろうな。記紀には載ってない神々や人々の逸話とか今に残る地名を見つけると楽しいし、逸話の出典もあったりしたので、どこかの蔵から未発見箇所出てこないかなと期待している。大国主命と少彦名命のクソ勝負は面白かった。2021/05/23