内容説明
否定弁証法的哲学と先鋭な文化批判を機軸とする社会理論が、美的仮象における和解の瞬間をすくいとる美学理論に結晶する経路を示し、美学においてクライマックスに達するアドルノの思想を再現する。
目次
第1章 ファシズムの時代を生きた市民階級のインテリ・アウトサイダー
第2章 非同一的なものの哲学―否定弁証法
第3章 批判的社会理論―権威主義的主体の管理社会
第4章 モダニズム芸術の哲学―美的仮象による「幸福の約束」
第5章 多岐にわたる影響
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊た(ゆうた)
5
これまで興味を持ちつつもその内容がよく解らなかったアドルノの哲学が本書を読んでおぼろげながらではあるが解ったように思う。人類の歴史を文明化に失敗した歴史とするアドルノの歴史哲学は厭世的なものであると思うし、現代社会が自然のとりことなった自然支配であるとするのもペシミスティックな社会観だと思った。そしてそこからの救いを芸術に求めるのがなんとなくショウペンハウアーに近いのかとも思った。現実社会を否定しつつそこから可能性としての幸福を救い出そうとするところが彼の哲学をメシア的唯物論と言わしめるのだろう。2020/01/13
home alone
1
アドルノの生い立ち、思想を色々な側面から説明した本。分かるような分からないような本。あまり読んでいて面白くなかった。得るものもあまりないように思った。(独断)2012/04/10
Meroe
0
入門書のはずなのに、むずい。哲学、社会学、美学、あやういバランス……よくわからなかったので要再読。そしてアドルノという人物の記述がいちいち魅力的。2011/06/09
hidehi
0
いままで読んだアドルノの思想の紹介をした本の中では一番明快で納得感があった。ちゃんと社会学や音楽、美学についてもカバーしている。2023/09/05