感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
42
【始原へ4】マリノフスキーの民族誌が面白かったので、続けて長期参与観察のお手本とされる本書に進んだ。1940年刊行、今のスーダンのサバンナに暮らすヌアー族だ。しかし本書はつらいものがある。■樹も生えず雨季は水浸しになる土地に牛とともに暮らす牧畜民族。彼らの世界は牛が中心だ。牛は最大の栄養源(乳)であり、唯一の財産であり、一日中一年中を牛のことばかり考えている。石や鉄もなく交易もしないので「鉄器時代どころか石器時代にさえ生きていない」(p144)。このあたりから、あれあれ?と思う。さらに社会構造、著者の↓2021/01/27
ゲニウスロキ皇子
4
E=P不朽の名作。最近は人類学の古典を耽読しているのだが、その中でも特に馬の合う学者がE=P。とにかく彼の著作は面白いと思えるんだ。もちろん本書もその例に漏れない。E=Pが1年余りのフィールドワークを基に、ヌアー族の政治体系を描いた力作。ヌアーの政治は独立した制度ではなく、部族内外での対立関係や部族間の構造的な距離(近隣のリニージか殆ど関係のないクランかなど…)に依存したものである。従って、ヌアー族の政治体系は極めて相対的なものであるといえる、ということを示した。まさしく構造主義的研究の集大成である。2011/12/04
Tomozuki Kibe
3
牛に最高の価値を見出すヌアー族に対し、帝国主義の時代に密着調査。何しろ抽象的会話や俯瞰的視点を持たない人に「きみたちは何を考えているか」を聞き出すのは日常会話の山から帰納を繰り返していくしかない。この執念があってこその大英帝国。この本が後日の文化人類学のテンプレートとなったわけである。ところで表紙にもなってるヌアー族の少女やけにかっこいい。2024/08/11
chuchu*
2
とても面白かった。ヌアー族にとって大切なものは牛であり、彼らの世界観も経済交換も牛によるところが大きく、それは一見不思議な気もするがこれを読んでいると、逆に私はなぜ牛に価値を求めないのだろうという気分にすらなる。分かりやすい民族誌を書くということに対する、エヴァンズ=プリチャードの気概が感じられ、私は好きだと思った。2014/04/25
ヨシツネ
1
構造主義研究のため、現代では扱いづらいかもしれない2018/05/09
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- 和書
- 簿記基本書 (改訂版)