内容説明
世紀末ウィーンに彗星のごとく現れ出たる神童の、いとも典雅な抒情詩のかずかず―。象徴的な心象風景を歌い、人と物と夢が三位一体となる瞬間の恍惚を歌う。韻文劇「チチアンの死」「痴人と死」、短篇小説「第672夜の物語」を併録。
感想・レビュー
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ぷほは
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盟友・ゲオルゲによって編集された初期の作品集が収められている。クルティウスが見出したホフマンスタールのハプスブルク朝への並々ならぬ見識は、まだこの頃にはあまり感じられないようだ。むしろ伝統や荘厳さの中に若々しい想像力が散見されるため、どこかでヘッセらのドイツ大衆文学との共時性すら感じられる。このギムナジウム感を上手く捉える言葉を今持ってないし、他作品との比較も検討せねばなるまいが、白い紙が黒い文字でいっぱいの散文よりも、白い紙が白いままで意味を載せてくれる詩をより楽しめるようになっている自分を感じる。2016/01/07