内容説明
アメリカ人は、他の西洋人とともに中国史の舞台に登場し、中国史の形成に直接的役割を演じた。だが我々アメリカ人中国史研究者はまた、歴史家としての立場で、中国史を解釈するための学問的パラダイムを作り出すことにおいても指導的役割を演じてきたのである。それゆえアメリカ人は中国に対し、二つのレベルで権力を行使してきたことになる。本書は、アメリカの中国研究に検討を加え、さらにそのことを通して、思想的次元における中国とアメリカの関係という、より包括的な問題をも直接視野に収めようとするものである。だがそのこととは別に、本書は、私という一人の歴史家の精神遍歴の到達点でもある。
目次
第1章 「西洋の衝撃―中国の反応」にまつわる問題(理論的諸問題;反乱;改革;反動;アプローチの修正)
第2章 「伝統と近代性」を越えて(19世紀西洋の中国観;ジョセフ・レベンソンと1950年代・60年代の中国研究;伝統と近代性は対極に立つのか;「近代化」パラダイムの廃棄を目指して)
第3章 「帝国主義」―神話か現実か(イデオロギーとしての近代化論;ヴェトナム戦争と中国研究;ウォラースティン理論と中国;象にとまった蚤;帝国主義概念の再検討)
第4章 中国研究の新たな潮流(知の帝国主義;「中国自身に即した」アプローチの誕生とその特色;1840年を越えて)
感想・レビュー
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