内容説明
国家;中世・ルネサンスにおける民族=国民の観念;政治体のアナロジー;マキアヴェリズム(マキアヴェリとマキアヴェリズムの起源;16世紀から18世紀にかけてのマキアヴェリズム;近代世界におけるマキアヴェリ);ナショナリズム;アナーキズム(アナーキズムの諸潮流;アナーキズムの政治理論;アナーキズムの理論家たち)
目次
88.4.25
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「16世紀中葉からフランス革命にいたるまで、マキアヴェリズムは知的生活において一つの強力な潮流を形づくっていた…すべてのマキアヴェリスト的態度に共通に見られるのは、道徳律に厳格に従って生きることと行動における成功とは両立しないのではないかという疑念であった…マキアヴェリの教えは、悪魔が地上においてその影響力を広める道具と見做された」「『オセアナ』の著者であるジェイムズ・ハリントンはマキアヴェリを「政治家の君主」と呼び、『蘇るプラトン』の著者ネヴィルにとってマキアヴェリは「神のごときマキアヴェリ」であった」2015/12/02
politics
5
国家論の泰斗、ダントレーヴによる国家論や中世政治思想における国家論、アナキズムなど主として国家に関する論考を所収した一冊。中でも、ハンス・コーンによるナショナリズムの小論は注目に値する。ルソーやヘルダーといった政治思想面から説き起こし、西と東のナショナリズムという今なお参照される分類法が簡潔に纏められている。また第三世界等へのナショナリズムにも言及しており、その視野を広さも確認できる。翻訳がない中で本書は大変参考になるだろう。2022/10/14
日暮里の首領様
1
数世代前を代表する政治学者たちによる論集。ヨーロッパにおける国家論、マキャベリズム、アナーキズムなど。中でも白眉は、ハンス・コーンによるナショナリズム論。「アンダーソン・ゲルナー以前」のナショナリズム論に触れる上で、第一級の小論だろう。「待つことに耐えられないというのは、二十世紀の心性の特徴的属性」であり、特にそれは第三世界では「高度の技術と効率的行政能力を持つ集団が非情に不足している」ため、強い国家と、ロマン主義的なナショナリズムが顕著に現れる…、というコーンの指摘は、今なお妥当性を持つ。2012/12/06