出版社内容情報
日光を中心に大規模な造営が行われ、神号宣下なども日光で実施された家康。その意図とは何か。今明かされる天下人の神格化の意味。
内容説明
なぜ神格はたびたび改変されたのか。神国思想ではなく仏国思想を有した天海と秀忠。ふたりは家康の遺言を受容する。だが、秀忠没後、天海は自らの想う仏国創成のため家康の遺言を改変する。これを見た家光の行動は―。
目次
第1章 徳川家康の最期の日々
第2章 徳川家康の神格化の前提条件
第3章 徳川家康の神格化と久能山上の祭祀
第4章 徳川秀忠による家康の神格の決定
第5章 徳川家康の遺言をめぐる真相
第6章 東照大権現号の誕生
第7章 東照大権現という神格の段階的変容
著者等紹介
野村玄[ノムラゲン]
1976年大阪府生まれ。2004年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(大阪大学)。専門は日本近世史。現在、大阪大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
14
徳川家康の諡号、ではなく神様になったので神号を「大権現」としたのは、天海僧正のごり押しとされていましたが、その経緯と家康の遺言とされたものの変遷を、多種多様な一次史料を使って展開し、解説したもの。野村玄さんの「論文」と思えばいいのかな──と史学徒ではないド素人歴史マニアは思うのみ。なんにしても、歯ごたえのある奥の深い本です。2020/06/07
MUNEKAZ
13
「東照大権現」誕生の舞台裏に迫った一冊。初っ端で久能山に家康の遺骸があるという静岡商工会議所などの運営するプロジェクトをぶった切っていてなかなか豪快。読みどころは家康の「遺言」を巡り、自らの推す神道の流派で実現を目指す天海の暗躍、そしてそれに対する秀忠や家光の決断の行方か。難しいところもあるが、なかなかスリリングで面白い。また本筋とは関係ないが、遺言や命令のころころ変わる最晩年の家康と、それに忖度して動く本多正純ら側近衆の影響力の大きさが、なんだかとてもリアルで興味深かった。2019/10/31
onepei
4
遺体の所在の話で十分におもしろい。2019/11/28
Go Extreme
1
家康の最期:駿府 江戸 移動 病状 方広寺銘文 以心崇伝 本多正純 隠居計画 上洛計画 政治判断 信任指示 側近対応 神格化準備 家康の発言 解釈 家康の遺言 神格化の背景:宗教観 天台宗 神道 キリスト教 天下統一 正統性 豊臣秀吉影響 文化的受容 祭祀儀礼 社会統合 久能山 日光東照宮 祭祀の役割 神道仏教融合 武士道 徳川政権安定 神号の決定:東照大権現 遺言 祭祀実施 秀忠 天海 以心崇伝 両部習合神道 朝廷勅許 政治的利用 神格の変遷 江戸社会影響 未来展望 祭祀継続 権威確立 幕府の正統性2025/03/10