内容説明
〈おてんば〉―この言葉は、鎖国下長崎のオランダ人が、日本人女性の御しがたい性格を表現したオランダ語に由来する。本書は、平戸のオランダ商館長を父に罪に、日本人愛妾に母に生れ幼くしてバタヴィア(現、ジャカルタ)へ追われた混血娘の、数奇な一生を描く。17世紀最強の商業国家オランダ―そのアジア植民地社会で、隷属的な地位にあらがった一混血女性のしたたかな闘い。
目次
1 バタヴィア未亡人の社会生活
2 幸せな日々
3 第2の人生
4 オランダでの幕間狂言
5 市中の噂
6 最晩年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
まるで児童書のような書名だが、中身はとても深刻。鎖国令で日本を追放された日蘭混血の女性が、東インド会社の上級職員というエリートの夫と結婚してバダヴィア(今のジャカルタ)でセレブな生活を送っていたものの、その夫の死後に再婚したのが財産目当てのDV男だった。結局、その半生をこの男との財産を巡る法廷闘争に費やしたことを膨大な記録から解き明かしていく。興味深いのは、日本にいる母方の親族へ手紙を何度も出していて、今も現存していること。四百年前に日本人の血が流れる女性が、こんな人生を送っていたのだ。2012/10/27
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