内容説明
「今世紀中葉を扱う、歴史的に最も重要な日記」(『ザ・タイムズ』)と評された、英国首相秘書官の戦時日記の下巻。上巻に続き、1941年から1955年までを収録、ヤルタ会談・ポツダム会談、ドイツ降伏。戦後は「鉄のカーテン」演説からチャーチル首相の辞任までを扱う。
目次
第13章 アメリカによる偵察
第14章 朗報
第15章 アフリカでの敗退、ギリシアの崩壊
第16章 ヘス、クレタ島、戦鑑ビスマルク
第17章 泥棒仲間のけんか
第18章 嵐の中の静けさ
第19章 特別な関係の確認
第20章 さらばダウニング街
第21章 兵卒たち
第22章 兵卒輸送の甲板にて
第23章 南アフリカでの飛行訓練
第24章 時を稼ぐ
第25章 ふたたびチャーチルのもとへ
第26章 アンツィオと電撃作戦の再開
第27章 「オーヴァーロード」作戦への秒読み
第28章 間奏曲―作戦行動への参加
第29章 第二次ケベック会談
第30章 勝利の繰り延べ
第31章 アテネのドラマ
第32章 ヤルタ会談にむけて
第33章 対スターリン宥和
第34章 ライン河を渡る
第35章 勝利と混沌
第36章 政党政治の復活
第37章 戦時連絡内覚の終焉
第38章 新たな牧草地にて
第39章 「チャーチルが還ってきた」(抄)
第40章 ニューヨークとワシントン
第41章 首相の脳卒中(抄)
第42章 バミューダ会議(抄)
第43章 アメリカ合衆国、カナダを訪問
第44章 首相の辞任(抄)
スエズ危機
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hotspur
3
1941年初め~。6月独ソ開戦。コルヴィルは41年10月~43年9月まで軍役に就いていてダウニング街の消息からは外れる。従って太平洋戦局への言及なし。その後ダウニング街に復帰するが、44年5月から再び前線へ。同年8月に再びダウニング街へ。ドゴールに対するチャーチルの嫌悪感が高まる。ソ連との軋轢が表面化しつつあり、ヨーロッパ戦勝記念日を過ぎて「平和の中の戦争(Bellum in Pace)」が激しさを増す。国内政争と総選挙敗北により7月26日チャーチル退陣、労働党アトリーが首相に就任し、日記の熱は冷める。2020/08/13
印度 洋一郎
1
下巻は、1941年1月から抄訳を挟み、1956年のスエズ危機まで。著者は戦時下のチャーチル、終戦直後のアトリーの二代の内閣に秘書官として仕え、戦後の第二次チャーチル内閣にもチャーチル直々に古巣の外務省から呼び戻されている。リアルタイムで記録される第二次大戦下のイギリスは、中立宣言してイギリスに協力しないアイルランドへの怒りやポーランドを巡るソ連との深刻な対立など、後の歴史には表立って語られないエピソードが興味深い。又、著者は一時期空軍に志願し、フランス戦線では戦闘機からドイツ軍を銃撃していたと告白している2020/11/03
takeakisky
0
まだ1941年1月、と読みはじめる。12月を読むのが怖くもあり待ち遠しくもあり。筆者はすっかりチャーチル贔屓になり、そこかしこのエピソードが微笑ましい。そうこうするうちコルヴィル君は飛行訓練へ。12月は素通り。いつの間にか米国の参戦。6月6日もあっさり通過。戦争は続いているが、1941年12月を境に空気は軽くなり、42年、戦況は連合国に大きく傾く。悪いタイミングで悪いバスに乗ったものだ。人一人が立ち会えるシーンには限りがあるが本人の言のとおり、全く興味深く変化に富んだ生活の記録。巻末人物注は読み応えあり。2022/01/28
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