出版社内容情報
『源氏物語』に引用される和歌や漢詩文、物語などの「ことば」は、いかなる表現効果を持ち、当時の人びとや現代の読者に影響を与えているのか。事例とともに探る。
内容説明
源氏物語には例えば多くの万葉歌が織り込まれ、その表現の古さや珍しさが特別の効果を上げるべく、紫式部によって仕掛けられている。また一方、この物語の文言が、最初の享受者でもあった周囲の女房たちの和歌のやりとりに引用され、ちりばめられてもいた。綿密な読みをもとに、時代の隔たりを超え、虚構と現実の境を超えてはたらく物語の「ことば」たちの生態を探り当てる。
目次
1 万葉歌の古さと新しさ(平安中期の古歌復興状況;「赤裳垂れ引き」玉鬘 ほか)
2 嘆老歌の悲劇と喜劇(反復される浮舟の「世の中にあらぬところ」;嘆老歌の二面性の継承 ほか)
3 梅香をめぐる官能性と老い(浮舟詠と「紫式部集」四六番歌;「さだすぎたる」女と梅香の“エロス” ほか)
4 虚構と現実のあわいに(『源氏物語』と藤原道長家の人々;中宮彰子による一条天皇哀傷歌 ほか)
著者等紹介
中西智子[ナカニシサトコ]
1979年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程満期退学。博士(文学)。現在、国文学研究資料館准教授。専攻は、平安時代の物語文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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