出版社内容情報
漢字伝来以前から日本にあったとされる神代文字。近世に作られたそれらの文字と文献に、神道や和歌をめぐる多様な知の集積を探る。
吉田 唯[ヨシダ ユイ]
著・文・その他
内容説明
神代文字が古代文字であることは否定されているのになぜ神代文字文献を読み解くのか。それは、これらの書に、日本近世期までの神仏習合思想、和歌説、神話の注釈など、興味深い異形の思想や知が集積しているからである。それらを解きほぐしつつ読んでいくことで、神代文字が生み出された背景を探る。
目次
1 『秀真政伝紀』とは(ホツマ文献の種類と『秀真政伝紀』;吉田神道からの影響)
2 和歌の役割―和歌の秘密とホツマの秘密(玉津島神社の由緒と和歌;『八雲神詠伝』からの影響 ほか)
3 ホツマ文献と高野山(ホツマ文献に見られる高野の神;『秀真政伝紀』に登場する高野山と奥の院)
4 ホツマ文字の法則を読み解く(ホツマの神「トホカミエヒタメ」とは;「ト」を中心とするホツマ文字の特性)
著者等紹介
吉田唯[ヨシダユイ]
1983年、京都府生まれ。龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。高野山大学密教文化研究所受託研究員、近畿大学非常勤講師。専攻は、日本古典文学、日本思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ryuya Matsumoto
6
よく研究されているなと思います。でも本当に古代の文字じゃないのなら「神代文字」って言わない方がいいんじゃないかな。2024/03/18
しずかな午後
4
神代文字についての一般書で、かつオカルトでもない本となると、唯一と言っていいのではないだろうか。漢字の伝来以前から日本にあった古代文字、神代文字。勿論、これらは後世の創作で、トンデモの一種である。しかしその上で本書は、そうした神代文字の世界(ホツマ文献)を、それが創作された近世を理解するための資料として、思想史研究の土俵にあげる。2021/12/28
ikeikeikea
3
神代文字について単なる雑な偽書的な印象しかなかったのだが、「文字そのものが神であり天から授かった」という卓越した設定があるとの事。日本宗教史上においても稀有で、このような設定を考えつく人は宗教上の天才であるように思う。梵字1字で仏を表す例とは違い、ホツマ文字は神の性格そのものを視覚的に表し、神=文字であるとの事だ。後書きにある著者がこの本を書くに至った経緯もとても面白い。2021/08/07
霹靂火 雷公
2
偽書を根拠としながら、現代も信仰の対象となっている神代文字。繊細で取り扱いづらい分野であることも含め、それなりに歴史を重ねた近世以降の信仰として再評価すべき時代が来ているのかも知れない。2018/06/25
ヨシツネ
2
厨二的に滾る 本当によく出来た伝記物で逐一興奮する 和歌を使うと何となく見栄えがいいという発想も当時と地続き2018/06/04
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