内容説明
残された膨大な草稿群の精細周密な解読・分析をとおして、『失われた時を求めて』の〈生成過程〉に新しい照明をあて、決定稿の神話を解体し、新たな解釈や意味づけを導きだす。プルースト草稿研究の第一人者による20年来の調査・研究の大成、待望の論稿集。
目次
序論 テクストの起源(生成論とは何か;『失われた時を求めて』の誕生小史)
第1章 コンブレー(冒頭の一句をめぐって;紅茶とマドレーヌ―時間の超越;エロスの世界―「秋の散歩」のテクスト成立過程)
第2章 バルベックの方へ(カフェオレを売る娘;バルベック教会の原型;波の輝き―文体に関する一考察)
第3章 母親と祖母(心の間歇;医師デュ・ブールボンの肖像;サン・マルコ洗礼堂の神秘)
第4章 都市・書物・神経症(プルーストとパリ;読書論から見たプルースト―『胡麻と百合』をめぐって;ソリエ博士と隔離療法)