出版社内容情報
1957年に雑誌「なかよし」に連載された『星を見ている』を完全収録。漫画の中に原爆の悲劇を描いた最初の漫画家の代表作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
関東大震災の被災者、特に虐殺された朝鮮の皆様に追悼・寺
33
原水爆漫画コレクション2巻は一冊まるごと谷川一彦『星は見ている』。昭和32年に『なかよし』で一年間連載された手塚治虫タッチの少女漫画。内容は広島の原爆で父を失った少女・まゆみが母も失い、東京のおばの元に行く。その際父の形見の銀の指輪を貰うのだが、その指輪を亡父の友人だった黒崎(実は悪人)が狙う。その指輪には秘密があったのだ。上京したまゆみが厄介になるのは喫茶店を営む家庭。不良の兄と意地悪な妹がいる。そしてまゆみを陰ながら守る謎の怪人。なかなか面白かった。著者も広島の人で、原爆で家族を失っている。2015/08/26
たまきら
29
なんだか盛りだくさんな内容でついていくのが大変だったけれど、原爆症で亡くなる少女の描写など、戦争がまだまだ子供たちの生活に影響を与えていた時代を感じ取ることが出来ました。2021/07/20
えふのらん
2
このアンソロに対してそう思っていいのかわからないが娯楽として面白かった。前半は不幸な少女と指輪を巡るスリラー、事件の周りをうろつく包帯男のホラーで後半はそれらを財宝と原爆を巡るミステリーで結末に導いている。不幸な少女、原爆とくると大方は終末医療に筋をもっていかれるのだが、本作は少女の不幸に対してスリラー、原爆に対して包帯男(怪奇要素)といった具合にジャンル横断的な構成を取っているため過度に暗くはない。2023/12/17
ビシャカナ
0
広島と東京を舞台に、薄幸の少女が母親の形見の指輪にまつわる企みに巻き込まれる。原爆は物語の主軸ではないが、被爆による不幸が主人公の少女の周りで確かな実体感を持って描かれる。実際に広島で黒い雨を目撃した作者だけのことはある。そして物語のもう一つの軸である友情や愛情が不幸ばかりの世界の救いになっている。2016/03/09
Natsuhiko Shimanouchi
0
原爆を直接描いた最も古い漫画「星は見ている」を完全収録(初復刻)。著者自身広島出身で原爆により両親を亡くした方らしい。手塚治虫の影響を直接受けてるような作風合わせて興味深い漫画でした。2015/08/29